ボール握らず猛勉強…「偵察」で強豪に入部 プロの扉開いた“非エリート”の計画力

公開日:2023.06.22

更新日:2023.12.26

文:橋本健吾 / Kengo Hashimoto

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元オリックスの前田祐二さんは現在、福岡市内で「前田ベースボールアカデミー」を開業

 2009年ドラフト4位でオリックスに入団した前田祐二さんは現在、福岡市内で「前田ベースボールアカデミー」を開き、指導者として少年少女の育成に力を注いでいる。野球を始めたのは中学生から。高校卒業後は1年間ボールを握らなかった左腕がいかにして“夢”を掴んだのか。

 中学時代に監督から投手としての才能を見い出され、野球の楽しさを知った前田さん。高校進学の際は野球推薦は頭になく地元の公立・富田林高校に入学し、1年夏から背番号「18」でベンチ入りを果たした。

 公式戦デビューはすぐに訪れた。清教学園との3回戦で先発に抜擢され、7回まで1失点の好投。しかし、疲れの出た終盤に打ち込まれ2-5で敗れた。それでも1年生左腕が見せた快投に学校は大いに盛り上がったという。

「その時でも創設100年を超える進学校。甲子園を目指せるチームではなかったですが、強豪私学に一泡吹かせたい。その時からマウンドに上がった時のメンタルが鍛えられた。自分たちで考えて練習ができたのも良かったと思います」

 高校時代の最高成績は3年春の4回戦だったが、上のレベルで野球を続けたい思いは強くなっていた。卒業後は関西の大学に進学するも環境が合わず1か月で中退。「プロを目指せる大学に行きたい」と、両親を説得し1年間予備校に通い龍谷大に合格した。

「この期間は勉強漬けで全く野球をやっていなかった。1年間のブランクは想像以上だった。大学入学前にキャッチボールをしたら塁間すら届かない状態。これはヤバいなと思い必死に体を作り直しました」

【次ページ】大学を一度中退し龍谷大に入学、厳しい練習に食らいつき1年生でベンチ入り

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