小学生に多い大会数「目標設定が難しい」 “小柄でも俊敏”な札幌学童のチーム強化策

文:橋本健吾 / Kengo Hashimoto

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札幌市の「新陽スターズ」井上太監督が語る…“ハンデに負けないチーム作り”

“雪国”の野球チームにとって、冬場の実戦不足は大きな悩みだろう。しかし、他地域に比べて大きなハンデを抱えながら、2月開催の全国大会で結果を残した学童チームがある。愛知県で行われた「オールジャパンベースボールリーグ小等部全国新人大会」で、準優勝に輝いた北海道の「新陽スターズ」だ。不利な環境を乗り越え、強さを発揮した要因とは――。

 雪の影響で屋外での練習ができない時期、北海道のチームの多くは体育館など室内へ活動の場を移す。2月に一大イベントの雪まつりが開催されるなど、積雪量の多い札幌市で活動する「新陽スターズ」も例外ではない。井上太監督は「一番は内外野のフライ練習ができない。実戦形式も難しいですね」と語る。雪の降らない温暖な地域と比べて大きな“ハンデ”があるように思えるが、「それは言い訳。考えて工夫して練習すれば勝負はできる」と断言する。

 練習は室内がメインになるものの、冬場にしかできないトレーニングも多いという。「冬場=走り込み」のイメージを持ってしまいがちだが、井上監督は「小学生には持久力よりも瞬発力や反射能力を重視している。体ができていない子が多いからこそ、身体操作などが大切」と説明する。

 少年野球では、どうしても体が大きい子が有利になる。だが、新陽スターズの選手は小柄でも動きにキレがあり、脚力、肩の強さ、打球の鋭さが目立った。「土台をしっかり作ることで技術がついてくる」。まだ体ができ上がっていない子どもたちに、体を思い通りに動かす能力を身につけさせることで技術向上に繋げている。

出場大会を選手が最終決定…明確な目標設定で引き出すモチベーション

新陽スターズ・井上太監督【写真:橋本健吾】

 学童野球ではシーズンを通じて様々な大会が行われているだけに、「目標設定が難しい部分もある」と井上監督。だからこそ、新陽スターズでは選手の主体性を引き出すために、年間目標も子どもたち自身に選ばせているという。目標を明確にし、納得して練習に臨める環境を作っている。

「もちろん指導者が(出場する)大会をピックアップするのですが、最終的には君たちで決めなさいと。チームとして『じゃあここを目指していきます』となるので。子どもたちは意外と何の大会か分かっていないことが多かったりするので。指導者と子どもたちの差、思いが違ってくると難しい。目指している大会がここだと分かれば、もっと真剣にやろうとなります」

 出場チームのなかでは、最も実戦感覚に乏しいチームが見せた快進撃。全国の強豪と渡り合えたことは、夏に向けてポジティブな材料になった。大会を終えた井上監督は「北海道のチームとしては試合ができること自体が非常にありがたいこと。いい経験になりました」と感謝した。

 自分たちで決めた目標だからこそ、厳しい練習にも真剣に向き合える。ハンデを言い訳にせず考えて工夫する力は将来、社会に出ても必要な要素だ。「ベンチ、コーチ、父兄を含めた全員が一体になることが大切」との指揮官の言葉通り、志を一つにした結束力が快進撃を呼んだと言えるだろう。

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