運動神経は「生まれ持った才能じゃない」 筒香兄弟が“中南米スタイル”を持ち込む理由

少年野球育成に努めるDeNA・筒香の兄、裕史氏…ドミニカ共和国で「見たことない景色に衝撃」
世界で通用する選手を育成する——。型にはまらない指導方針を掲げているのが、DeNA・筒香嘉智外野手が故郷の和歌山に設立した少年硬式野球チーム「和歌山橋本Atta boys(アラボーイズ)」だ。First-Pitchでは少年野球などのスポーツ界で活躍する専門家・トレーナーに、子どもの「運動神経向上」をテーマに取材。同チームで代表を務める兄・裕史さんは「チャレンジしての失敗はOK。挑戦することの大切さを知ってほしい」と、選手育成に力を入れている。
チームの本拠地となるのは筒香が私財2億円を投じて故郷に作った総合スポーツ施設「TSUTSUGO SPORTS ACADMY」。天然芝の本球場とサブグラウンド、室内練習場が揃った施設はメジャーリーグのスプリングトレーニング場と遜色ない作りだ。
小学生から“本場の環境”を知ることで、成長のスピードは大きく変わる。裕史さんは過去にドミニカ共和国を訪れ「見たことない景色で衝撃を受けた」と、これまで抱いていた野球への価値観は一変したという。型にはまらないダイナミックなプレースタイルはなぜ生まれるのか。骨格や、生まれ持った運動神経が理由だと思っていたが、そうではなかった。
「裸足で走り回ったり、木登りするなど自然に触れ合い育つ環境はありました。ただ、村や町を見て回ると、全員が全員、驚くほどの身体能力を持っているわけではなかった。生まれ持った身体能力だけじゃない。ここに日本人の器用さ、勤勉さを加えると勝負できると感じました」
難しい打球、イレギュラーの打球をエラーしても「挑戦した結果なので失敗ではない」

例えば、守備では簡単な打球を10球中10個アウトにするのは日本が長けているが、難しく届かないと思われる打球を処理する能力は中南米が「圧倒的に上」だという。整地されていないグラウンドや地面で“球遊び”することが当たり前で、イレギュラーな打球にも対応する能力は自然と身に付く。さらに「失敗」というマインドを持っていないのが日本との大きな違いだ。
「難しい打球は触れないとエラーじゃない。そう思ってほしくない。守備範囲が広いと、自然とエラーは増えます。ですが、それは挑戦した結果なので失敗ではない。彼らは常に挑戦するマインド、身のこなしを持っていました。幼い頃からの経験は大人になって必ず生きてくる。それは野球以外の面でも同じだと思っています」
だからこそ、チームでは“打つ、投げる、守る”だけでなく身体操作を向上させるトレーニングを取り入れている。エクササイズ、リズムトレーニングなど、ボールを扱わず、体全体を使った動きを入れるなど工夫を凝らし、子どもたちのポテンシャルを伸ばしている。
子どもたちは失敗を恐れず、挑戦することで成功体験を増やしていく。「チャレンジしないことが失敗です」と語る裕史さんは、21日から開催される「運動神経向上LIVE」に登場予定。創設3年目を迎えた「Atta boys」は、これからも世界で通用する選手を育てていく。
筒香裕史さんも登場…子どもの運動神経向上に役立つトレーニングを紹介!
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