嫌だった電話音「吐き気催すことも」 中継ぎ一筋13年…ピンチに動じない“緊張対処”

文:川浪康太郎 / Kotaro Kawanami

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福岡ソフトバンクホークスジュニア・嘉弥真新也監督が小学生に伝えたいメンタル論

 プロ野球の世界で輝いた小柄な左腕が、指導者の道を歩み始めた。昨年まで福岡ソフトバンクホークスと東京ヤクルトスワローズで13年間プレーした嘉弥真新也さんが、今年から福岡ソフトバンクホークスジュニアの監督に就任。身長172センチとプロ野球選手としては小柄ながら、通算472試合に登板して137ホールドを挙げた左腕は、「子どもたちには特にメンタル面のことを教えたい。考え方が変われば体の動きも変わってくる」と意気込む。

 6期連続でホークスジュニアの監督を務め、昨年の「NPB12球団ジュニアトーナメントKONAMI CUP2024~第20回記念大会~」でチームを日本一に導いた帆足和幸前監督が退任し、その後を受けて就任。嘉弥真監督は「正直、『僕で大丈夫ですか』という気持ちでした」と本音を漏らしつつ、「チャレンジ精神を持って、良いチームを作って連覇をしたいです」と気を引き締める。4月下旬、5月下旬には新たな試みとして、ジュニア入りを希望する小学生に向けた練習会も福岡で実施する。

 小学生年代に最も伝えたいのは、元プロ野球選手だからこそ理解するメンタルの保ち方だ。嘉弥真監督は、主に中継ぎで活躍した現役時代を回顧しながらメンタルをコントロールする重要性を語る。

「ブルペンにかかってくる電話の音が嫌になるんです。電話が鳴ってからは緊張して、吐き気を催すこともある。でも、ブルペンで緊張し切って、グラウンドに入ってからは何も考えない。ピンチの場面で登板した時は、『ランナーを絶対に帰したくない』ではなく、『自分が出したランナーではないし、帰しても仕方がない』くらいの気持ちで投げました。緊張するのは当然のことなので、そういった対処法を教えたいです」

小柄でもプロで活躍…胸に刻み続けた「追いつこう」の精神

子どもたちを指導する嘉弥真監督(右)【写真:福岡ソフトバンクホークス提供】

 嘉弥真監督は体格に恵まれない中でも努力を続け、夢をつかんだ。小学6年生当時の身長は138センチで、最速は92キロ。「自分が小6の時にジュニアチームの選考を受けたら、1次選考で落とされていたと思います」と笑う。

 それでも八重山農林高を卒業後、クラブチームのビッグ開発ベースボールクラブと企業チームのJX-ENEOS(現ENEOS)で実力を磨き、2011年のドラフトでソフトバンクから5位指名を受けた。成長を後押ししたのはやはり、メンタルの強さだ。

「みんなに追いつこうと、とにかく頑張って練習したら、プロの道が開けた。プロに入ってからも、(ブルペンの)隣にはサファテ投手や岩嵜投手(翔、現中日)がいて、すごい球を投げていたけれど、人間は上(のレベル)を見るとそこに合わせようと努力する。追いつこうと必死に投げた結果、キャンプの期間だけでも成長することができました」

 成長時期が個々で異なる小学生の段階では、体格差や実力差に悩み、コンプレックスを抱える選手は少なくない。だからこそ、自身の経験をもとに「追いつこう」と努力することの大切さを伝える。「野球を嫌いにならず、楽しくプレーしてほしい。指導者1年目なので、勉強しながら子どもたちと一緒に成長していきます」。培った“強心臓”を第二の野球人生でも生かしてみせる。

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