
関西の名門「兵庫伊丹ヤング」でコーチを務める元日本ハムの尾崎匡哉氏
データや技術、理論を求める前に必要なことがある。タイガースカップで3度の優勝を誇り、中学硬式野球では関西の名門として知られる「兵庫伊丹ヤング」で、OBとしてコーチを務める元日本ハム・尾崎匡哉氏は「技術を支えるのは体力。練習量をこなした先に質の大切さが分かってくる」と、子どもたちをサポートしている。
兵庫伊丹ヤングは2022年の全国春季大会で優勝を果たすなど、ここまで数々の主要大会で頂点に立った。OBでは山田哲人(ヤクルト)らプロ野球選手を6人輩出し、高校球界でも今年の「侍ジャパンU-18」で主将を務めた間木歩投手(報徳学園)が活躍している。
現在も70人を超える大所帯だが、チームの指導方針は「高校でも通用する選手育成」だ。年間を通じて練習を行い、練習試合や公式戦では3年生だけでなく1、2年生中心のチームを組み全員が成長できる環境を整えている。学年ごとに数値を管理するなど目標値は設定しているが、尾崎コーチは「質を求めるより量をこなすことを大切にしている」と語る。
例えば野手なら中学3年間でスイングスピード130キロを目指し素振り、ティー打撃、フリー打撃などを含め1日1000スイングがノルマ。守備でも基礎から始まり逆シングル、ジャンピングスローなど上のカテゴリーで必要になるスキルも数をこなし体で覚えていく。
上手い選手を作るのではなく、“強い選手”を作らないといけない

「今はどこでも情報が手に入り、過去に比べると技術は各段に上がっています。ただ、上手い選手を作るのではなく“強い選手”を作らないといけない。これは高校野球の監督、指導者からもよく耳にします。今の子どもたちは“飛び級”で技術を覚えようとする。打者ならまずはバットを扱える、振る力がないと、高い技術は身に付かないと考えています」
尾崎コーチは日本ハム時代にダルビッシュ有(現パドレス)、中田翔(現中日)、糸井嘉男ら一流選手とプレーを共にしている。2軍で努力しスタープレーヤーに駆け上がっていく姿を見てきただけに、「プロで長く活躍する選手でも圧倒的な量をこなしていた。体力がなければ技術を身に付ける練習はできない。継続する力は必ず自分を助けてくれる」と、力説する。
勝利を度外視し野球を楽しむ、量より質を重視し、短時間でプライベートの時間を大切にする……。様々な方針を掲げるチームもあるが「個々で目的は違うので、自分に合ったものを見つけてほしい」と否定はしない。「努力は必ず実るわけじゃないが、やらないとチャンスはこない」。高校以降でも活躍する選手を育成するため、尾崎コーチはこれからも力を注いでいく。
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