大社旋風に刺激「山陰でも戦える」 人口減なのに選手増…大敗から“大飛躍”のワケ

文:川浪康太郎 / Kotaro Kawanami

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2年連続の全日本学童大会出場…鳥取・宮ノ下スポーツ少年団が「全国2勝」

 山陰のチームが、“小学生の甲子園”でも躍動した。47都道府県を代表する学童野球チームが頂点を争う「高円宮賜杯第44回全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメント」で、鳥取代表の「宮ノ下スポーツ少年団」は準々決勝で敗れたものの、全国初勝利を含む2勝を挙げ8強入り。カテゴリーこそ違えど、今夏の甲子園で快進撃を披露した島根の県立高・大社に続いて、山陰勢が歴史を動かした。

 宮ノ下スポーツ少年団は桃木フェニックス(群馬)との初戦を12-11で制すると、続く3回戦は都島ライガーズ(大阪)相手に9-0で完封勝利。20日に明治神宮野球場で行われた準々決勝では牧野ジュニアーズ(奈良)に4-8で敗れたが、信岡宜曉監督は「保護者さんをはじめとする鳥取の方々の応援のおかげ。子どもたちがプレッシャーに負けずによく頑張ってくれた」と胸を張った。

 昨年、創設45年目で初の全国大会出場を果たし、今年は2年連続で切符をつかんだ。信岡監督が「前監督が土台をつくってくれた」と話すように、大澤伸行・前監督が率いた直近2年間でチームが大きく成長。自身2度目の就任となる信岡監督が、そのチームづくりを受け継いでいる。

 大澤前監督がチームづくりの一環として行ったのが、保護者への積極的なアプローチだ。以前は練習や試合を見るだけだった保護者に「応援をしてもらえると選手のパフォーマンスがよくなり、緊張もほぐれるので、応援していきましょう」と呼びかけ、保護者による応援が慣例化すると、雰囲気が一変。それに伴って実績もついてきた。

 準々決勝の試合中もスタンドでは保護者による懸命な応援が繰り広げられ、点差が広がり重苦しいムードが漂った際には、スタンドから「表情暗いぞ!」などと声が飛びベンチがなごむシーンがあった。信岡監督は「指導者と子どもたちと保護者がいかに1つになれるか。そこの一体感があるチームは強い」と力を込める。

人口の少ない山陰でも…団員を増やし、結果を出すための努力

懸命なプレーで全国2勝を刻んだ選手たち【写真:川浪康太郎】

 初戦で11失点大敗を喫した昨年の反省を生かし、新チーム発足後は「夏場の戦い方」に焦点を当て、体力の強化に努めてきた。昨年全国を経験した小林栞大主将(6年)らが率先してチームを引っ張ったことも「全国2勝」の大きな要因だ。

 また、甲子園で93年ぶりの8強入りを成し遂げ話題を集めた、隣県・島根の大社高校からも刺激を受けた。「同じ山陰として意識していました。人口の少ない山陰でも全国で戦えるぞということを感じてもらえたと思う。人数が限られている中で自分たちも全国に来て、山陰に元気を与えられていればうれしい」と信岡監督。全国に通用する強さは十分に見せつけた。

 全国的に野球人口の減少が叫ばれる昨今、過疎化が進む山陰では特に団員確保に苦慮する学童野球チームが少なくない。そんな中、宮ノ下スポーツ少年団は保護者と一体になったチームづくりに取り組むほか、インスタグラムを運用して情報発信にも力を入れることで団員を増やしており、現在は信岡監督が長男とともに入団した7年前と比べて、10人近く多い27人が在籍しているという。

 そしてなにより全国大会で結果を残すことが、地域の活性化や競技人口増加につながるはずだ。信岡監督は「来年また全国の舞台に戻ってきたい」と前を向いた。

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