技術は運動能力を高めてから 身体能力伸ばす指導が主流の米国

「技術は、運動能力や身体能力を高めた先にあります。早くから投手向けの練習やトレーニングに特化すれば上手くはなりますが、スケールの大きな選手にはならないと思っています。小、中学生に技術ばかりを教える必要はありません」

 こうした考え方は、米国で野球指導を学んでから強くなった。倉野さんは2022年2月から10月まで、MLBレンジャーズ傘下2Aと3Aでコーチ研修を受けた。米国滞在中、ジュニア世代の指導も視察したという。

「もちろん最低限のルールを教えたり、アドバイスしたりはしますが、米国の指導者は小、中学生の選手にほとんど技術的なことを教えません。身体能力を伸ばす指導や練習を重視しています」

 米国では野球のシーズンが決まっており、冬場はバスケットやアイスホッケーを兼任する選手も多い。倉野さんは、他の競技で身に付けた動きが、将来的に野球に生きると捉えている。

 今の時代は、小、中学生でもインターネットを通じて様々な野球の知識を得られる。投手に特化した練習やトレーニングをすれば短期的には上手くなるかもしれない。ただ、倉野さんは「頭でっかちになってしまいがちな子どもたちを正しい方向に導くのが指導者の役割だと思います」と話す。一見、遠回りに感じる投手以外、野球以外の動きは将来の財産となる。

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