勝利の方程式を担った久古健太郎氏が重視、誰でも有する“非認知能力”
元プロ野球選手が、少年野球の子どもたちにとっても“重要”と指摘したのは「非認知能力」だった。高校時代は甲子園に出場し、ヤクルトでは貴重な左腕として勝利の方程式の一角を担った久古健太郎さんは、プロ入り後すぐに活躍する選手や、育成契約から1軍の主力になる選手の共通点が「非認知能力の高さ」にあると感じている。史上最年少で通算100本塁打を達成したヤクルトの村上宗隆内野手が、若くして成功した理由も挙げている。
非認知能力。一見難しそうな言葉だが、誰にでも備わっているもので、日頃から使っている。例えば、想像力や忍耐力、計画性や意欲、客観的思考力や自己肯定感は非認知能力に含まれる。読み書きや計算など、学力テストで数値化して認知できる能力以外を指す。世界的にも注目され、文部科学省も子どもの教育で重点を置き始めている。
この非認知能力が野球のパフォーマンスに大きく影響すると指摘するのが、2018年までヤクルトでプレーした久古さんだ。国士舘高2年の時に選抜高校野球大会に出場。青山学院大、日産自動車、日本製紙石巻とアマチュア野球界の王道を歩み、ヤクルトでは主に中継ぎとして228試合に登板した。様々な選手を見てきた中で、プロになる選手、さらにはプロで活躍できる選手の共通点を感じ取っていた。
「伸びる選手と伸びない選手の差は、普段の取り組みや目標設定の仕方が大きく影響していると思います。非認知能力の重要性は、ドラフトの下位や育成で指名された選手が1軍で活躍したり、プロのスカウトが『こっそり練習を見に行く目的は日頃の練習の様子』と話したりすることからも証明されています。非認知能力という言葉自体を知らなくても、上のステージでプレーする選手は自然と大切なものだと認識していくのだと思います」
自分の課題を把握して、解決するための方法を考えて行動に移す。目標を設定して、到達するまでの計画を具体的に立てる。こうした日頃からの行動が非認知能力の差であり、伸びしろやパフォーマンスの違いに表れると久古さんは考えている。ドラフト下位指名の選手や育成契約の選手が1軍の主力になるのは、非認知能力が高いことも要因だという。
「プロになる選手は基本的に野球の能力が高い人ばかりです。長く1軍にいる選手は、どうしたら自分は試合に出られるのか、どうすれば技術が向上するのか、仮説を立ててしっかり考えて練習している選手が多いと感じます。仮説が正解か不正解かは試合で分かります。失敗した時に原因を考えて、修正できるかどうかが結果の差となります」