一冬で132→148キロに球速アップ 就寝前習慣も見直し…中学日本一が実践する野球の“質改善”

文:橋本健吾 / Kengo Hashimoto

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今年の全国大会で春優勝、夏準優勝を飾った石川・星稜中

 強さの秘訣は「土台作り」と「メンタル強化」にあった。今年の中学軟式野球の全国大会で、春は優勝、夏は準優勝に輝いた星稜中(石川)。毎年のように全国舞台で勝つチーム作りのポイントはどこにあるのか? First-Pitchでは小学・中学世代で全国制覇を成し遂げた指導者を取材。星稜中・五田祐也監督に“育成論”を聞いた。

 中学軟式で星稜中の快進撃が止まらない。今年3月の「文部科学大臣杯第15回全日本少年春季軟式野球大会ENEOSトーナメント」で、大会最多となる3度目の優勝を飾った。8月の「第42回全日本少年軟式野球大会ENEOSトーナメント」では準優勝。春夏連覇こそならなかったが、その強さを全国舞台で見せつけた。

 最速148キロを誇る右腕・服部成投手らタレント揃いのチームだが、五田監督は「昨秋の時点ではそこまで力はなかった。一気に変わったのはトレーニングの改善と、メンタルトレーニングを取り入れてからです」と振り返る。筋力や脚力など体の強い選手は多かったが、その力を野球の動きに活かせないことが多々あったという。

 そこで、チームはオリックス・森友哉捕手の専属トレーナーを務める久米健夫氏を招いた。器具に頼らないトレーニングを取り入れるなど、体の使い方を根本から見直して「身体操作」の向上に着手。その結果、服部は132キロだった球速が一冬越えて148キロにアップしたほか、打撃陣も力強い打球が増えた。一見したところでは分からない「体のキレ」や「出力の上げ方」を覚えたという。

「柔軟性を重視したトレーニングとか、本当に出力をどうやって上げていくかが課題でした。服部に関しては少し異次元のところまで行きましたが、他のメンバーも1、2段階レベルが上がったと思います」

選手から上がった「睡眠時間を確保したい」の声

星稜中・五田祐也監督(左)【写真:小池義弘】

 体作りやプレー面以外に取り入れたのが、パフォーマンスを上げるために必要な「コンディショニング」だった。知人を介して様々なスポーツ選手を指導するトレーナーを招き、保護者同伴のコンディショニング講座を開いた。そのなかで選手が最も興味を示し、改善したのが「睡眠」だった。

 睡眠の質を上げるだけではなく、就寝前の“スマホ時間”をなくすなど私生活を見直した。練習に全力を注ぎ、疲労を補うために必要な栄養を摂取した上で十分な睡眠時間を確保する。規則正しい生活を続けることで「野球の質」は上がっていったという。

「やはりこの時代なので。息抜きで携帯を触る時間もあると思うのですが、講座を受けて、子どもたちから『睡眠時間を確保したい』と声が上がるようになりました。心も体も一番成長する時期。この1年間を振り返ってみても大事だったと思います。今は情報を得るのは誰でもできますが、それを取捨選択し実行する力が大切になってくるのではないでしょうか」

 試合で好結果を残すには、体とメンタルをどこまで整えられるかが重要になる。技術を支える「土台作り」は常に意識していきたい。五田監督は10月末開催の「日本一の指導者サミット」に出演予定。中学野球に必要なもの、さらにその先を見据えた指導論を語る。

中学軟式で春は日本一、夏は準優勝…星稜中の指導・練習法を紹介!

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