守備力向上のヒントは「虫取り」!? 伸び悩み防止へ…能力を最大限引き出す“4要素”

公開日:2025.04.14

更新日:2025.04.15

文:川浪康太郎 / Kotaro Kawanami

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トレーナー・松本竜生氏が説く「遊び」と「敏捷性」の相関性とは

 敏捷性(アジリティ)を高めることが、野球選手として輝くきっかけになるかもしれない。関東を中心とした多数のチームで指導するトレーナーの松本竜生さんは、高校(埼玉・市立川越)時代に「2番・センター」を託され、敏捷性を高めることで、守備や走塁の際の「機敏に動かなければいけない」場面でのパフォーマンスを上げることができた。First-Pitchでは野球などのスポーツ界で活躍する専門家・トレーナーに子どもの「運動神経向上」をテーマに取材。松本さんはトレーナーになった現在、その重要性を選手たちに伝えている。

 アジリティトレーニングでは、主にマーカーコーンを使って素早い動作を身に付ける。野球の技術としては、打球に対する守備の1歩目や、走塁において塁間で挟まれた時の切り返しのスキルなどの向上につなげることができる。松本さんいわく、「真似することや体をコントロールすることに長けている」選手は、敏捷性が高い傾向にあるという。

 一方、松本さんは「敏捷性は幼少期の遊び方によって変わります。例えば、守備における敏捷性は、スタートダッシュして、加速して、ボールを捕るためにスピードを落として止まって、捕ったら方向転換をする、という4つの要素を持つ。これらの要素は遊びの中にもあるので、その経験値をどれだけ早い段階で積めるかが重要です」とも口にする。

「遊び」の一例が虫取りだ。土手の斜面を転ばずに全力で下り、止まって虫を捕まえる動作は、敏捷性の4つの要素を持ち合わせる。鬼ごっこなども同様で、これらの遊びの中の動作を最大限競技に近づけると、野球のプレーでも力を発揮することができる。

飛び降りや転ぶ動作も…危険避けつつ増やしたい日常の中の“経験”

松本氏は「転ぶ経験」さえも将来に生かせると考える【写真:本人提供】

「守備の1歩目」という観点では、「着地」の感覚を幼少期から身に付けることも大切だという。

 守備の際、野手はバットにボールが当たるタイミングで、軽くジャンプして着地する“クッション”を入れる。その着地した衝撃でアキレス腱の“バネ”を誘発し、打球方向に素早く1歩を踏み出す。この一連の流れは、高い場所から飛び降りる動作を通じて経験できる。もちろん危険は避けなければならないが、日常の中に経験を増やす方法はいくらでもある。

 松本さんは「転ぶ経験」さえも将来に生かせると考えている。「転んだ時に咄嗟に受け身を取る動作は、守備や走塁に結びつけられます。グラウンド環境が悪かったり、難しい打球が飛んで来たりした時、『転ぶ経験』をしていれば、怖がらずにボールを捕って姿勢を切り替えて投げることができる。小学生の間にどれだけ動作の引き出しを増やせるかが鍵を握ります」。この考えを応用し、ビーチフラッグスの要領でうつ伏せのまま360度回転し、合図の出された方向に走り出すトレーニングなどを採り入れている。

「中学生までは運動神経の良さでなんとかなる部分がありますが、高校生以上になると絶対に壁にぶち当たるタイミングがある。そのタイミングでじたばたしていては遅いので、早い段階から引き出しを増やしてもらいたいです」。中学生までは技術練習に明け暮れ、敏捷性を意識したトレーニングに取り組む機会はなかった。だからこそ、小学生の段階から野球につながる動作に触れてほしい。そう願う松本さんは、21日から開催されるイベント「運動神経向上LIVE」に出演予定だ。

【実際の動画】守備につながる動きを“複合的”に 打球への1歩目が速くなる敏捷性トレーニング

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