走れない泳げない、でも球速150キロ超 「頭」使って甲子園…磨き抜いた“取り柄”
野球塾運営する長坂秀樹氏が説く「思考」と「継続」の重要性
体格に恵まれていたわけでも、センスがあったわけでもない。それでも、投手として最速152キロを記録した。米国の独立リーグでもプレーした長坂秀樹さんは、現役時代の経験を生かした指導で子どもたちの成長を後押ししている。
2011年に現役を引退した長坂さんは現在、神奈川県藤沢市で野球塾「Perfect Pitch and Swing」を運営している。長野・東海大三(現・東海大諏訪)のエースとして甲子園に出場し、米国の独立リーグでもプレー。身長168センチと小柄な体で150キロを超える速球を投じ、メジャーリーグを目指す大男たちと競っていた。長坂さんは運動能力が高かったわけではないという。大学生になっても50メートルは7秒台。今でも泳げない。
「野球で唯一、何とかなりそうだったのが投げることだったので投球を磨きました。速い球を投げることができたのも、甲子園や独立リーグでプレーできたのも、人一倍考えてきたからだと思います」
長坂さんは「考える力」と「練習の継続」で、他の選手より劣っている部分を補った。理想とする動きをするには、体のどの部分をどのように動かせば良いのか。そのために、どんな練習やトレーニングが効果的なのかを考え抜いた。その姿勢は、現役を引退後に始めた野球塾でも変わっていない。選手たちに有無を言わさず回数をノルマに課すような指導はしない。トレーニングの狙いを説明し、選手たちの反応や成果を見て内容を改良している。
例えば、投球で重要になる肩甲骨周りの柔軟性をテーマにしたトレーニングでは、シンプルなストレッチのほかに、棒を使ったプログラムや芸人の一発ギャグの動きを取り入れたプログラムなど、選手を飽きさせない内容を考案している。継続できない選手に対しては、自身の経験を交えて柔軟性の大切さを伝える。
指導に生きる現役時代の経験…身長190センチの投手にはない説得力
「肩周りが柔らかくなって可動域が広くなれば、それだけ腕の遠心力を使えます。私が170センチに満たない身長で150キロ以上の球を投げられたのは、体を最大限に使う意識を持ってトレーニングを続けたからです。身長190センチの選手が柔軟性の大切さを語るより、私の方が選手への説得力があると思います」
時には、厳しい言葉で選手を鼓舞する。甲子園出場やプロ野球選手といった高い目標を掲げていながらも、ストレッチを継続できない選手には「努力が足りない」「プロの世界を甘く見ている」と指摘する。そして、その理由を説明する。
「赤ちゃんと大人では、どちらの体が柔らかいかを選手に質問します。『赤ちゃん』と答えが返ってくるので、『では、なぜ赤ちゃんに近いはずの君たちがプロ野球選手より体が硬いの?』とたずねると、選手たちは何も言えなくなります。小学生が大人に勝てる分野は柔軟性しかありません。その柔軟性で勝つ努力をしなければ、プロ野球選手になれるはずがありません。上手くなるためには、どうすれば良いのか考える習慣をつけてほしいと思っています」
野球のパフォーマンスを上げるために鍛えるのは体だけではない。考える力を磨く大切さを長坂さんは伝えている。
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