正しい投球動作で“痛みが出る”部位 プロ16年の確信…鍵握る軸足「一流は形が一緒」

公開日:2025.10.28

文:尾辻剛 / Go Otsuji

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元ロッテ・大嶺祐太氏、少年野球指導で意識する「正しい投げ方」

 強い球を正確に投げるための大切なポイントの1つは、軸足の使い方にある。ロッテ、中日で投手としてプロ野球生活を16年間送った大嶺祐太氏は現在、球界を離れて都内で飲食店を経営しつつ、定期的に少年野球の指導を行っている。その中で意識して子どもたちに話しているのが「軸足をうまく使って投げること」だという。

「軸足の使い方が良くない子どもが多いと感じます。“タメ”が作れていないし、体重移動もできていない。プロ野球でも同じですけど、結局は軸足をしっかり使って体重移動の時間を作れる人が一流になっていると感じます。僕の中では野球をやっている中での永遠のテーマじゃないかなと思っています」

 まずは投げる前のセットポジションの姿勢から気になる部分がある。軸足の膝(右投手の場合は右膝)が折れすぎて、真上から見た場合に爪先より前に出ている子どもや、内側(本塁寄り)に入りすぎている子どもが目につくという。

 どの選手も最も力が伝えられやすい「パワーポジション」を探るのだが、「パワーポジションに入れるべきだということはみんな知っている。ただ、正しい姿勢で構えると膝は絶対に爪先より先には出ないし、内側には入らないんですけど、それが分からなくて、できない子が多いです」と指摘する。

 自身も現役時代に軸足である右膝への「タメ」を意識しながら苦労したことを振り返る。「膝の割れ方もそうですし、“タメ”を作って我慢できる部分が数センチ長くなれば、年俸が変わってくると言われました。当時は意味が分からなかったけど、ようやく分かるようになりました」。まずは真っすぐ立ち、膝が折れすぎないよう心がけるのが大切だという。

正しいフォームで投げていても「内転筋が痛くなる」

ロッテ・中日でプレーした大嶺祐太氏【写真:尾辻剛】

 体重移動でも軸足の意識が重要となる。「捕手が『もっと向かって投げてこい』という時など、どうしても速い球を投げたくて力を前に前にとかけがちで、体が突っ込み過ぎてしまう。制球を意識しすぎて焦った時も同じです。そうなると腕と体が離れてしまって、良い球がいかなくなります」。そこで大事なのが軸足の膝への「タメ」である。

「軸足をうまく使って、二塁方向、後ろの方向に力を加えれば、足の力は後ろに加えているはずなのに体は勝手に前に行く。結果として重心が後ろに残っているから、下半身を使って投げられる。そういうことを教えています」。踏み出した足が着地する際、軸足に重心を残す意識の重要性を説いている。

「いい投手は、そこの形が一緒なんです。日本もメジャーも。きれいなフォーシームを投げる投手などはそうです。もしかしたら意識しているのは別の部分かもしれないですけど、そこさえしっかりできていれば、後はどうにでもなりそうな気がします」

 小学生や中学生にそのバランスを言葉で伝えるのは難しい。自ら実践しながら、なるべくかみ砕いて伝えるようにしている。「僕が言っていることが全部、正しいというわけではないけど、例えば『その投げ方だと、ここ(の部位)が痛くなる』というような言い方をします。それを実感してもらえると、ストレッチをやる意味を説明すると、やってくれるようになりますね」。

 まだ成長期の子どもたちは筋力不足や体の硬さもあり、怪我への注意も必要。軸足に体重が乗った正しいフォームで投げていても、必ず痛くなる箇所がある。「数を多く投げると内転筋が張ってきて、痛くなります」。内転筋が痛くなるのは問題ないので、そこは頭に入れながら練習してほしいという。

「正しい姿勢で投げようとしても股関節が硬い子は、別の動作になる場合がある。そうなると別の場所を痛める危険性があります。だから正しい姿勢で投げましょうと説明しています」。具体的に説明することで保護者も納得してくれるそうである。投球上達と怪我防止。軸足を意識すべき大きな意味がある。

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