150キロ超を続々輩出…無名の“好投手”を見出す着眼点 後戻りできない「小手先頼り」

公開日:2024.06.26

文:内田勝治 / Katsuharu Uchida

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オリ・宇田川らをプロへ…仙台大・森本吉謙監督が“成果物”と語る伸びしろのポイント

 多数の投手を地方大学からプロに送り出している指導者は、選手のどの部分に“伸びしろ”を感じるのだろうか。今春の仙台六大学リーグを無敗で制し、全日本大学選手権に出場した仙台大の森本吉謙(よしかた)監督は、これまで熊原健人(元楽天)、馬場皐輔(巨人)、大関友久(ソフトバンク)、宇田川優希(オリックス)ら150キロを超える好投手をプロに輩出してきた。無名の選手の伸びしろを見抜く上でのポイントがあるという。育成年代に大切にしてほしいことも含めて話を聞いた。

 森本監督は、筑波大のコーチを経て、2004年に仙台大の監督に就任。2014年春のリーグ戦で67季ぶり3度目の優勝を果たすと、今春は10勝0敗で2季ぶりの奪冠。優勝回数も東北福祉大(76回)、東北学院大(18回)に次いで、2桁の10回に到達した。今年から侍ジャパン大学代表のコーチも務めており、来年ドラフト候補の最速152キロ左腕・渡邊一生(3年)を自チームから代表に送り出すなど、その指導法には定評がある。

 森本監督は、まず高校生投手をスカウティングするにあたり、大切なこととして「腕の振り」を挙げる。

「インスピレーションに近いのですが、単純に腕の振りを大切にしています。それがその投手の最終的な“成果物”だと思っていて、実際に球速が出ずに、まだまだの状態であっても、腕の振りに魅力があるということは、下半身の使い方であったり、軸足の使い方がしっかりしているので、そういったことは見ていますね」

 腕をしっかり振るというのは、簡単なようで難しい。直球を投げる時は力強く振れていても、変化球で緩むケースも多く、打者にとっては球種が読みやすい。また、変化球にばかり頼っていると直球の走りが悪くなることもある。育成世代から小手先に走らず、強いボールを投げる意識が大切になると語る。

「ジュニアの頃からあまり突飛なことはしないで、基本的な運動能力をしっかりと磨いて、そこから土台を作っていってほしいです。特に投げることに関しては、一度悪い癖が身につくとなかなか難しくなってきます。単純に体を使って投げられるとか、そういうところがおろそかになってしまうと、取り返しがつかない部分も出てきます」

中日・辻本は6秒フラット…野手についての評価は「スピード」

大学日本代表コーチを務める仙台大・森本吉謙監督【写真:加治屋友輝】

 野手に関して評価するのは「スピード」だ。昨年主将を務めた辻本倫太郎内野手(中日)は、50メートル6秒フラットの俊足を武器に、遊撃で広い守備範囲を誇った。投打で圧倒的なタレントが揃う東北福祉大と台頭に渡り合うために、高い機動力と守備力を持った野手が必要不可欠だ。

「もちろん打てるのも大事なのですが、仙台大の野球の特徴で言えば、スピードがある、ないというのが大きなポイントになってきます」

 仙台大での戦いぶりは、国際大会に通じるものがある。侍ジャパン大学日本代表は7月に開催される「プラハベースボールウイーク」及び「ハーレムベースボールウイーク」に出場。森本監督はコーチとして、堀井哲也監督(慶大監督)をそばで支える。これまでに培ってきた経験は、必ずや大学侍の糧となるはずだ。

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