硬式移行時の“送球の違和感”にどう対応? 名手が伝授…「地球を使う」キャッチボール

文:石川加奈子 / Kanako Ishikawa

XFacebookLineHatena

「FIGHTERS LEGENDS野球教室」で中3選手に伝えた“硬式球での送球”

 軟式から硬式に移行すると、送球の感覚も変わる。9月14日にエスコンフィールドHOKKAIDOで行われた、高校野球を目指す中3軟式選手を対象とした「FIGHTERS LEGENDS野球教室」で、ファイターズOBの金子誠氏と田中賢介氏が、硬式球を投げる時の体の使い方や、キャッチボールを通して身につけたい感覚を選手たちに伝えた。

「硬式のボールを初めて投げたらどんな感じだった? ピューンって、上に行かなかった?」

 現役時代にゴールデン・グラブ賞を3度受賞した金子氏は、選手たちにこう問いかけ、ボールそのものの違いについて説明した。「軟式は中が空気、空間だから、意外と小手先の方がうまくいく。硬式には真ん中にコアという固い核があるので、しっかり下半身で押し込めないと、どこに行くか分からない」。

 硬式球を初めて投げる時には戸惑うかもしれない。だが、扱えるようになった時の感覚は格別だという。「ばっちりはまった時は、軟式ではありえないぐらい気持ちがいい。自分で投げたボールがヒューンって音を立てる」と硬式野球ならではの魅力を伝えた。

 キャッチボールの途中で選手を集めると、「自分のイメージしたボールを投げた時に、どういう感覚が手に残るかを感じて。やってみよう」と呼びかけた。硬式球を投げる機会が少ない選手たちに、ボールを投げた時の感触を意識させた。

 同じくゴールデン・グラブ賞5度受賞の田中氏は、硬式球ならではの「縫い目」にも目を向けさせた。相手が投げたボールの縫い目がどのように回っているかを見る。自分が投げたボールについても回転を確認し、きれいに回るボールを意識する。「プロになったら、ピッチャーが投げたボールを縫い目で見て、ストレートなのかツーシームなのか判断する。縫い目を見る癖をつけておいた方がいい」と、将来につながる視点を伝えた。

重い硬式球は下半身が使えないと「差し込まれてしまう」

「ノック&スロー」では自ら手本を示した【写真:石川加奈子】

 参加者の動きを見つめる金子氏が繰り返し伝えたのは、下半身を使ってボールを投げる感覚だった。その象徴的な言葉が「地球を使う」だ。この日用意したメニューの1つ「ノック&スロー」では、サード付近からファーストへ送球する通常のノックを行い、自ら手本を示しながら足の運びを直接指導した。

「体重移動というと、投げたい方に踏み出し足(右投げなら左足)をステップしなさいという話になる。でも、体勢はいろいろあるから、軸足(右足)も大事」と説明。硬式では、ボールが弾まないため低い打球が多く、重心が低い姿勢で捕球する場面も多い。「そこで左足を踏み出そうとすると、体が1回起き上がってしまう。だけど、投げたい方向に右足で押すと考えたら、もう少し地面を使える送球になる」と、スムーズな体重移動のコツを伝えた。

「カットプレー」では、3人1組で一直線に並んでキャッチボールを行った。金子氏が鋭い視線を送ったのは、カットマンに相当する真ん中の選手の動きだった。「その場で処理しない。移動して、もらう」と言葉を添えながら、実際にやってみせた。

33人の選手が硬式球の感触を確かめた【写真:石川加奈子】

 ボールを受ける時も、投げる時も足を動かす。重い硬式球を受けて反対方向へ投げ返すには、下半身を使えないと「差し込まれてしまう」。差し込まれると、大人でもボールの持ち替えが不安定になるという。「そこは軟式と硬式の違い。そういうものを扱っているということを分かってもらえたら」と、硬式球の特性を体で感じてもらった。

 実際にプレーした選手たちの動きは、金子氏の目にどう映ったのだろうか。「最初のキャッチボールはちょっとおぼつかなかったけど、ボールを処理して体を使ってボールを投げることを繰り返すうちに、ボールの回転もよくなっていった。ボールに指がかかった感触は気持ちいいはず。そういう体験を提供できて良かった」と汗をぬぐった。

【実際の動画】伸びのある送球につながるカットマンの“必須動作”…金子誠さんが中学生に身振り手振りで指導

読んで理解したら、次は動画で習得する

 ゴロ捕球・送球、フライ捕球などの守備技術は、正しい入り方・捕り方・送球への流れを頭で理解するだけでなく、実際の動きを映像で確認しながら体に落とし込むことで初めて安定します。記事で紹介したような練習法や考え方を、映像で確認しながら習得したい方は、First Pitchが連動している野球育成動画サービス「TURNING POINT」(ターニングポイント)をご活用ください。

 通常は有料会員向けの指導ドリル第1話を、無料会員向けにも公開中です。さらに無料登録だけで、250本以上の指導・育成動画が見放題。メールアドレス・Google・LINEで30秒ほどで登録できます。

無料登録して指導動画を見る
✓ 30秒で登録完了 ✉ メール・Google・LINEで登録可能

 守備技術を専門とする指導者や元プロ野球選手など専門家70人以上が、ゴロへの入り方・グラブさばき・捕球後の送球動作まで、エラーを減らし確実に捕るための練習法を動画で徹底解説しています。

■TURNING POINTの特徴を詳しく見る

トレンドワード