難しい初心者への投げ方指導…逆効果にならない方法は? 集中力欠く子も響く“動作の翻訳”

公開日:2025.09.30

文:First-Pitch編集部

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少年野球における投げ方の指導法…実践する声かけのコツ

 少年野球の初期指導において、投げ方の習得は重要な課題だ。しかし、低学年の子どもに複雑な理論を伝えても、理解が追いつかず逆効果になることも少なくない。大切なのは、指導者がいかに分かりやすい言葉を選ぶかだ。3つの指導事例から、子どもたちの成長を促す声かけの技術を探ってみたい。

・下半身主導の動きをいかに伝えるか。

・初心者にも分かりやすい段階的な掛け声とは。

・集中力が続かない子に響く指導の工夫。

 福島の学童野球の強豪「常磐軟式野球スポーツ少年団」では、低学年の段階から下半身を使って投げる意識を徹底させている。手投げによる故障リスクを避け、下半身と上半身の連動性を早い段階から覚えてもらうためだ。とはいえ、多くの情報を同時に与えると子どもたちは混乱することから、詰め込みすぎず「元気よく足を上げよう」といったシンプルな言葉で段階的に伝える。子どもは自身の体の動きを理解していない場合が多いため、手や腕の動きについては言及しないなど、「伝え過ぎない指導」が効果的だという。

 王貞治氏が実施している「世界少年野球大会」のコーチ陣の初心者への指導法は、投げ方の動作を4つの掛け声に集約させた点が特徴的だ。「From the side!(横に)」「Ball to the sky!(ボールを空に)」といったリズミカルな言葉で、子どもたちに一連の流れを覚えさせる。世界野球ソフトボール連盟(WBSC)コーチのルイス・カマルゴさんが重要視するのが、グラブを持つ手を投げる方向に向け「カベ」を作る動き。下半身の使い方が完璧でなくても、この点を意識するだけでリリースポイントが安定し、投げる楽しさを伝えられるという。

 宮城県の学童野球チーム「七郷少年野球クラブ」の低学年チームでは、制球力と球速向上につながる「肩の入れ替え」を意識させる指導を実践している。体の軸を中心に、ボールを握る後ろの肩(右投げなら右肩)とグラブを抱える前の肩(左肩)とを素早く“入れ替える”イメージで投げることだ。この動きを子どもに分かりやすく伝えるため、キャッチボールの際に選手の足元から白線を引いて「可視化」する工夫を導入。「線に沿って真っすぐ」といった簡潔な指示と、実際に手本を見せることで、集中力が続きにくい子どもの理解を促している。

 いずれもアプローチは異なるが、大切なのは、専門的な知見を子どもにもわかりやすいように“翻訳”してあげることだ。複雑な動作を分解し、1つの動きに集中させるための簡潔な言葉や視覚的工夫が、技術の習得を助けてくれり。指導現場では、子ども一人ひとりの発達段階に合わせた言葉選びが求められるだろう。

・難しい下半身からの連動は、シンプルな言葉を使って伝える。

・選手たちに「掛け声」をかけさせ、リズムで段階的に覚えさせる。

・「白線」などの視覚情報を用い、子どもたちの集中力を切らさない。

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