地面に置いた球→手ゴロ→ノック…吉川ウイングスは3段階で守備力向上
全国大会出場を果たしたのは、反復練習による基本の徹底も要因だった。埼玉・吉川市の学童野球チーム「吉川ウイングス」は、ノックを受ける前にルーティンとしている練習がある。地味なメニューではあるが、園児や小学校低学年の時から繰り返すことで基本の動きが身に付き、高学年で結果を出せるチームとなる。
吉川ウイングスには、園児や小学校低学年の野球初心者も多く所属している。ボールへの恐怖心を抱かないよう、守備練習ではノックに入る前に2つのステップがある。第1段階が地面に置いたボールの捕球、第2段階が手で転がしたゴロの捕球だ。第1段階の練習はゴロ捕球の基本を身に付ける大切なメニューで、小学校中学年の選手も反復している。
ゴロ捕球の基本は右利きの場合、前傾姿勢になって右足、左足の順番でタイミングを合わせて打球を捕る動きにある。この形を無意識でもできるように、吉川ウイングスではジグザグに動きながら、地面に置いた複数のボールを捕る姿勢をつくっていく。
さらに、前傾姿勢のまま真横に動いて地面に置いたボールを捕るメニューや、球際の強さを磨くために短い距離を全力で走って地面に置いた目印をタッチするメニューなどを取り入れている。低学年を担当する安保大地コーチが練習の意図を説明する。
「止まったボールを捕球する時に理想的な形をつくれなければ、動いている打球を捕る精度は低くなります。野球経験が浅い選手は両足がそろった状態で捕球してしまいますが、半年、1年と継続すると右足、左足の順にリズム良く捕球できるようになります」
選手が球に触れる機会増へ…ノッカー・一塁手2人ずつで同時ノック
吉川ウイングスは2021年、「高円宮賜杯全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメント」に2度目の出場を果たした。しかし、過去には紅白戦や練習試合が占める割合が高くなった影響などで基礎練習の時間が少なくなり、思うような結果を残せなかった年もあったという。
チームとして出した答えは、基本を大切にする原点回帰。基本を身に付けるメニューに派手さはないが、シートノックと比べて選手に待ち時間が少ないため、飽きることなく時間を有効活用できるメリットもある。
平日練習がない吉川ウイングスにとって、限られた時間を無駄なく活用する方針は肝になっている。内野ノックではノッカーと一塁手を大人が2人ずつ担当し、ノッカー2人は同時にノック。1人は三塁手と遊撃手、もう1人は二塁手へ打球を飛ばす。一塁手の2人は少し距離を取り、1人は三塁手と遊撃手、もう1人は二塁手の送球を受ける。
選手をテーマ別に4つのグループに分けて、同時に守備練習をする時もある。チームを率いる岡崎真二監督は「ダイヤモンドの中に選手を振り分けると、待っているだけの選手が増えてしまいます。ボールに触れる機会を多くすることで、選手は上手くなっていくと考えています」と話す。
基本が身に付いているからこそ知識や技術の吸収が早くなり、応用も利くようになる。選手の成長やチームの強化に近道はない。
【実際の動画】守備練習なのにボールを捕らない? 吉川ウイングスが実践するゴロ捕球の形作り
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