「連続ティー打撃は意味がない」は真実か 目的曖昧はNG…根性練ではない“本当の価値”

文:First-Pitch編集部

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元首位打者ら一流が説く“連ティー”の懸念と正しい活用法

 野球の練習風景でよく見られる「連続ティー打撃」だが、その効果については「体のキレが出る」という肯定意見と、「フォームを崩す」という懸念の声で二分されがちだ。目的意識が曖昧で、ただ回数をこなすだけの根性論に陥っていないだろうか。プロ経験者や実績ある指導者の見解をもとに、この練習の真価と懸念点、正しい活用法を整理したい。

・連続ティー打撃を行う本来の目的やメリットはどこにあるのか。
・逆効果になってしまう「悪い例」やリスクとはどのようなものか。
・効果を最大化させるための具体的な回数や意識の持ち方はあるか。

 まず、楽天で首位打者を獲得した土谷鉄平さんは、連続ティーを「体のキレを出し、体を開かないようにする」ために有効だと語っている。ただし、腕だけで振る「手打ち」になっては意味がない。鉄平さんは、下半身を使って「反動をつけてスイングすること」を重視し、打つたびに必ず「最初の構えに戻すこと」を最重要ポイントに挙げる。体の回転を最小限に抑え、素早く構え直す動作を繰り返すことで、成長過程の選手に必要な下半身の使い方を習得できるという。地味できつい練習だが、正しい手順を踏めば確かな効果が期待できる。

 一方、元大阪桐蔭主将で野球塾「Amazing」代表の廣畑実さんは、やり方次第で逆効果になるリスクを懸念している。疲れて手打ちになったり、スイングのベクトルが上に向いて腰が浮いたりする悪癖がつく恐れがあるからだ。そこで廣畑さんが推奨するのが、一振りごとに軸足の膝を地面につける「膝つきスイング」。これにより、浮きがちな重心を矯正し、力を出すベクトルを下方向へ正すことができるという。漫然と連続ティーを行うよりも、大臀筋を使いながら力強く振る感覚を養うことが実戦的なスイングにつながる。

 中学硬式野球の強豪「関メディベースボール学院」の井戸伸年総監督は、「何のためにやるか」の理解が大切だと説いている。井戸総監督は、この練習を「トップの位置を確認できる」場と位置づけ、通常ノーステップで行うところを足を上げて行うことを推奨し、軸足から踏み出し足への股関節の体重移動を確認するのに有効だと語る。やみくもに振るのではなく「5球1セット」を目安とし、量より質を重視。振り切ったバットを顔の前を通して戻すこと、インパクトの瞬間に声を出して腹圧を高めることなど、細部への意識が「根性練習」を「技術練習」へと変える鍵になるという。

 プロや名指導者の理論を模範とすると、連続ティーは単なる体力強化ではなく、フォームの確認や修正にこそ真価があることが見えてくる。何よりも、選手たちにしっかりと目的意識を持って取り組んでもらうための指導が大切になってくるだろう。

・本来の狙いは、体のキレやトップの位置確認、下半身連動の習得にある。
・疲労による手打ちや腰浮きのリスクがある場合は、「膝つき」導入などの工夫も有効だ。
・漫然と続けず「5球1セット」や「毎回構えに戻す」意識で質を保つことが大切になる。

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