「部活動指導員」に求められる資質とは? 顧問に代わる人材登用の課題と問題点

公開日:2022.05.28

更新日:2023.12.26

文:First-Pitch編集部

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「人間形成できる指導者をどれだけ集められるか、すごく心配」

 教員の働き方改革によって、中学校の部活はどうなるのか。教育現場は不安や戸惑いを隠せない。課題解決の一手として注目されているのが「部活動指導員」。ただ、部活の顧問に代わって子どもたちを指導する役割とあって人選が大切になる。東京都の中学校野球部で部活動指導員を務める男性と、福島県で長年野球に携わっている教員らによる意見交換から問題解決の糸口を探す連載。第2回は「部活動指導員の選び方」を考える。

 オンライン意見交換会は、東京都の中学校で野球部を担当している部活動指導員の家城雅一さんと、福島県にある一般社団法人「福島ベースボールプロジェクト」に所属する現役の中学教師や元校長らで行われた。教育現場では部活動を外部指導者や地域へ移行する必要性を感じていながらも、不安が根強いという。

※以下、「福島ベースボールプロジェクト」からの参加者の発言は「福島」、部活指導員・家城さんの発言は「家城」と記載。

福島:部活動という限られた時間であっても、子どもたちの指導を外部に任せるわけですから、心配している先生は多いです。日本スポーツ協会による昨年の調査によると、全国2000人の中学校教員のうち、休日の部活動を「地域人材に任せたい」と回答した割合は45.6%でした。半数以上は何らかの不安を持っているわけです。誰でもいいから部活を任せればいいという問題ではありません。部活動は人間教育の意味合いも強いです。

家城:おっしゃる通りで、部活の目的は人間形成も大きいと思います。学校の先生に代わって指導するわけですから、勝利至上主義は脇に置いて、自主性や社会性の育成といった部分を優先できる指導者を採用すべきだと感じています。その基準の1つに考えられるのが、スポーツ協会が認定する公認コーチの資格です。私も取得しました。ただ、どちらかというと知識を問う部分が大きいので、指導者の資質を判断するのは難しいかもしれません。勝利至上主義の人でも資格が取れるからです。

福島:教育現場や野球関係者としても、そこが一番心配しているところです。資格を持っていれば、指導者の適性があるわけではありません。社会に出た時に必要な資質を子どもたちに身に付けさせる指導も大切だと思います。人間形成できる指導者をどれだけ集められるか、すごく心配です。

【次ページ】重要な“適性”の見極め「指導者としての価値観や人間力を採用の基準に」

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