かつての常識は中学から「金具」、今は「ポイント」を好むプロも
少年野球の保護者世代は「大人への階段」と思っていたかもしれない。ひと昔前は、中学生になってスパイクを「ポイント」から「金具」に変えるのが、成長を感じる瞬間でもあった。現在は、広島・菊池涼介内野手らプロでもポイントスパイクでプレーする選手もおり、子どもたちの間でも好みが分かれている。それぞれにメリットとデメリットがある。
スパイクの裏には必ず「金具」か「ポイント」と呼ばれる突起のいずれかがついている。中学生になると金具かポイントか、好みのスパイクを選択できる。以前は中学生から金具に変える選手が大半だったが、今はポイントスパイクの人気も高い。
金具スパイクの最大のメリットは「グリップ力」にある。地面をしっかりとつかみ、足に力が入る。野球は前に進むだけではなく止まる動きもある。瞬発力が必要な動きを助け、打撃や投球でも踏ん張った時に力が入る。柔らかいグラウンドでも金具が地面を噛むため、踏ん張りが効く。
だが、その分、足への負担が大きい。練習時間が長い野球では、朝から夕方までスパイクを履き続けることが少なくない。疲労は溜まり、影響は足の裏だけではなく膝、腰、肩にも及ぶ。
ポイントスパイクは足への負担が少ない。長時間履いても金具スパイクよりも体への影響が小さいため、怪我のリスクを軽減できる。金具よりグリップ力が劣り、滑ると感じる人もいるが、近年は改良が進んでいる。日本プロ野球界を代表する名手、広島・菊池涼は長いシーズンを考えてポイントスパイクを使用している。ポイントの位置もメーカーによって異なり、金具のグリップ力に近づける工夫が凝らされている。
それぞれにメリットとデメリットがあるため、どちらが優れていると断定するのは難しい。中には、日々の練習ではポイントスパイクを履き、試合前や試合が近づくと金具スパイクに変える選手もいるという。