親子で「出来る方法を探す」 野球未経験の母が“万能女子選手”を育てる方法

公開日:2022.03.25

更新日:2023.12.26

文:川村虎大 / Kodai Kawamura

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「草加ボーイズ」で副主将の北村絵菜さんは注目の女子プレーヤー

 今年、小学6年生になる北村絵菜さんは、埼玉・草加市の軟式少年野球チーム「草加ボーイズ」で副主将を務めている。打撃では他の男子よりも打球を飛ばし、捕手としても素早い二塁送球を見せる。将来の夢は女子プロ野球選手と整形外科医。そのため、平日は自主練習を欠かさない他、勉強する時間もしっかりと確保している。前編ではその素顔を紹介したが、今回は社会人野球出身の父と未経験者の母による明るく、そして一生懸命な“環境作り”について。親子の距離感を取材した。

 絵菜さんが母・文子さんに「ママ~、ティー上げて~」とお願いすると、「やろうか!」とボールを握って、トス上げを始める。同じリズムで、そして正確。打ちやすいところにボールを投げる。その愛情のこもった球は痛烈な打球となって、50球、100球と打ち返された。そして一緒にボール集めをして一緒に打撃の課題について、話しあっていた。

 これはある日の野球室内練習場での一コマ。子どもたちが気軽に使える都内のこの場所に週に2~3回、親子で通っている。母が練習に付き合うのは、絵菜さんが野球を始めた小学1年生のころからの習慣となっている。未経験のスポーツと5年間、身を寄せることは簡単なことではない。側から見ていると、文子さんも「野球経験者なのでは?」と思えてくる。

 当初は技術も体格も男子に劣る絵菜さんを「何とかしなければ」という思いからのスタートだった。練習していると次第に「一緒に練習するのは、今しか出来ないと思うんです」という気持ちにもなった。子は成長とともに親離れしたり、チームの練習が長くなったりと1人の時間が多くなり、機会が減っていく可能性がある。「今の私にできることをやろう」と前向きにとらえていった。

 家では一緒にプロ野球選手の動画を見て「なぜこの練習をやるのか、どのような効果があるのか」を明確にしてから練習に取りかかるようにした。文子さん自身も野球を学ぶだけでなく「正解は何かを探すことで考える力を養うことができるのではないか」と効果を期待するようにもなった。最近では、オリックス・山本由伸投手の槍投げ動画、日本ハム・近藤健介外野手の外角低めに投げるトスバッティングに取り組んだ。ただマネをするだけでは危険なため、社会人野球出身の夫・隆幸さんに意見をもらいながら、効果的な練習を探し続けている。

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