打撃も米国流を吸収 日本での常識覆され「突っ込みどころなかった」

 野球はチームスポーツだが、打球を捕る時も打席に入る時も、問われるのは個人の技術。サッカーやバスケットボールのように、1つのボールを複数の選手が争う競技とは違う。個々のスキルを上げなければ、チームプレーに加わるのが難しいのだ。

 菊池さんは米国で、これまで教わってきた技術面の常識も覆された。例えば打撃では、日本と米国で理想とするスイングの軌道が違った。米国の子どもたちが、打球を上から叩く、地面と平行にスイングすると教わることはない。指導者は投球の軌道にバットを合わせて、ボールを面で捉えるよう指導する。日本人の感覚からすると、極端なアッパースイングに見える。菊池さんは、こう話す。

「米国の指導者の説明には突っ込みどころがなく、否定できませんでした。今までの自分の考え方よりも優れた理論だと思ったので、新しい知識や技術を抵抗なく吸収できました。米国のやり方が全て正解で、昔ながらの日本の教え方が間違っているという意識はありません」

 菊池さんは現在、米国で学んだことを軸に子どもたちに野球を教えている。最も大切にしているのは「一人一人の能力を伸ばしていくこと」。チームプレーは、個人のスキルが身に付いた先にあると考えている。「どの年代でも、もっともっと個々の成長に目を向けるべきだと思っています」。高校教師からプロスキルコーチに転身した菊池さんは、年齢も県境も関係なく子どもたちに野球の楽しさと上達する方法を伝えている。

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