「いきなりキャッチボールをやらせないで」少年野球日本一の監督が勧める初心者指導

文:間淳 / Jun Aida

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多賀少年野球クラブは2018、19年に全国制覇、OBに楽天・則本昂大がいる

 楽天・則本昂大投手を輩出し、全国大会常連の少年野球チーム「多賀少年野球クラブ」の辻正人監督は、初心者の指導で投げ方と捕り方に重点を置く。保護者には「いきなりキャッチボールをやらせないでください」と呼びかける。正確な技術を短期間で身に付けるには、慌てずに正しい順序で指導することが大切だという。

 2018、19年に2年連続で日本一を達成した滋賀・多賀町の小学生軟式野球チーム「多賀少年野球クラブ」は、今年も全国大会の切符をつかんだ。部員70人を超えるチームには、園児から小学6年生まで所属している。辻正人監督が最も時間を割くのが、幼児と初心者の指導だ。

「小学校5、6年生には必要な知識や技術を教え込んであるので、自分たちで考えて練習できます。監督の最大の役割は多賀野球の基礎を初心者に教えることで、そこに強さの理由があります」

 辻監督は、初心者の子どもたちを教える時、投げる動きと捕る動きを分ける。いきなりキャッチボールをすると、子どもが怪我をしたり、恐怖心を持ったりする可能性があるからだ。保護者には「家でいきなりキャッチボールをやらせないでください」と注意を促している。

フライは体の正面で捕球させず「よけながら捕る」

練習を行う多賀少年野球クラブ【写真:間淳】

 まずは、投げ方。辻監督は右利きの子どもたちには「右手でボールを持って、そのまま頭。ステップ、ステップ、そのまま真っすぐドーンと投げる」と伝える。大切なポイントをシンプルな言葉で説明。1人1人の腕の位置やステップの仕方をチェックしながらアドバイスし、上手くできた時には「すごい」「今のは完璧」などと声をかける。

 捕り方を教える時は、地面に落ちているボールをグラブで拾ったり、子どもがグラブを構えているところに柔らかいボールを下から投げたり、段階を踏んでいく。フライの練習は、柔らかいボールを使ってマシンや手で上げる。

 大切なのは、体の正面で捕球させないこと。野球を始めたばかりの子どもたちにとって、自分に向かって落ちてくるボールは怖い。顔に当たったら恐怖心が芽生える。辻監督は「最初は、よけながら体の横でキャッチするように伝えています。フライを捕るのは空間認知能力が必要なので、フライをキャッチできれば自然と打撃もできるようになります」と語る。

 野球の楽しさを知った子どもたちは、驚くようなスピードで成長していくという。体格に恵まれた選手や運動能力の高い選手がそろえば、どんなチームも突出して強い年がある。毎年のように全国大会で上位に進む多賀少年野球クラブの強さの理由は、初心者の指導方法にもある。

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