
少年野球に詳しい3人の専門家の見解…ランニングメニューの目的と意図
野球のトレーニングで伝統的によく行われている、長い距離を走る「走り込み」は、本当に野球に必要な練習なのか。その方法や目的を誤ると、選手の成長を妨げるリスクもある。長距離走は、野球に必要な瞬発力とは異なる能力を鍛えることになりかねないからだ。少年野球に詳しい専門家の見解を基に、より効果的で怪我のリスクを抑えるランニングメニューを整理したい。
・長距離走が野球のパフォーマンスに与える影響
・野球の動きに直結する瞬発力を高める走り方
・選手の成長段階や目的に応じた練習メニューの選択
現在ソフトバンクで指導をしている野球スキルコーチの菊池タクトさんは、長距離走を「非効率的」と指摘する。基礎体力向上には一定の効果がある可能性があるが、出力が出せるようになった選手には、野球に必要な速筋線維とは違う筋肉の発達を促してしまう懸念があるからだ。そのため、数十秒で走りきれる150〜200メートルのダッシュを3〜5本を行う方が、より実践的なトレーニングになると語る。オフシーズンに投手が過度な投げ込みを行うことにも否定的で、肩肘を休ませながら体の使い方を改善するドリルを推奨している。
トミー・ジョン手術の権威で、群馬の中学硬式チーム「館林慶友ポニー」代表の古島弘三さんは、医学的見地から、過度な走り込みは成長期の中学生の身長の伸びを妨げる可能性があると語る。チームの活動時間をあえて短く設定し、選手が自主的に考える時間や、体力的な余力を確保することを重視。練習の効率性を重んじ、個々のスキルアップに時間を割く。走り込みを減らすことで選手の身長が伸びている実感もあり、練習は量よりも目的を持った短時間集中型で行うべきだと考えている。
東京農業大学の勝亦陽一教授は、練習の目的と内容を一致させる重要性を説く。例えば、飛距離を伸ばしたい打者が長距離走を行うと、筋量が減少してスイングスピードが落ち、逆効果になることがあるという。投手の場合、速い球を投げるためには瞬発的な力が必要なため、30メートル程度の短いダッシュを休息を挟みながら全力で行うことを推奨。一方、先発投手などにはスタミナも求められるため、100〜200メートルのインターバル走を取り入れるなど、目的を明確にした使い分けが不可欠だと言う。
伝統的な“走り込み一辺倒”の練習からは、転換したほうが良いだろう。練習の意図を明確にし、選手の成長段階やポジションの特性に合わせてメニューを最適化することが、パフォーマンス向上と怪我防止の両立につながる。科学的根拠に基づいたアプローチを取り入れ、選手の可能性を最大限に引き出していきたい。
・練習の目的を選手と指導者が共有する。
・長距離走だけでなく短距離ダッシュやインターバル走を導入する。
・選手の身体的な成長を考慮し、過度な負荷を避ける。
小・中学生の野球技術を伸ばす効率的メニューを紹介…無料登録で指導・育成動画250本以上が見放題
菊池タクトさん、古島弘三さん、勝亦陽一教授らも賛同する野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」(ターニングポイント)では、無料登録だけでも250本以上の指導・育成動画が見放題。First-Pitchと連動し、元プロ野球選手やトップ選手を育成した指導者、少年野球の現場を熟知する指導者が、最先端の理論などをもとにした確実に上達する独自の練習法・考え方を紹介しています。
■専門家70人以上が参戦「TURNING POINT」とは?
■TURNING POINTへの無料登録はこちら