少年野球にウエートトレは必要か 球速アップできない“NGケース”も…専門家3人の見解

3人の専門家が説く「技術に繋がる」体作りとは
少年野球選手の技術・体力向上に、ウエートトレーニングは必要なのだろうか。球速アップや打球の飛距離向上を目的に導入したにもかかわらず、思うような成果に繋がらないケースは少なくない。その原因は、筋力を技術に変換するプロセスが欠けていることにありそうだ。専門家たちは、闇雲に筋肉を大きくするのではなく、体の使い方やバランスを整えることが先決だと指摘している。3人の専門家の見解を基に、筋力トレーニングの“本当の価値”を掘り下げてみよう。
・トレーニングの目的は、筋力と野球の技術をイコールで結ぶことにある。
・体のバランスや関節の可動域が、筋力をプレーに活かすための土台となる。
・方法を誤れば、せっかくのトレーニングが逆効果になる危険性もある。
中学硬式野球の強豪「関メディベースボール学院」(兵庫)でトレーナーを務める藤田真悟さんは、「トレーニングと技術はイコール」でなければならないと語る。良いフォームは柔軟な関節の動きなど、体の機能が伴って初めて習得できるもの。しかし、藤田さんは「トレーニングで数値を上げることが目的となり、逆に動きが鈍くなった選手もいる」と指摘する。数値を追い求めるあまり、筋肉がただの「鎧」となってしまい、野球に必要な回旋動作などを妨げてしまうのだ。そのため、チームではウエートトレーニングは3年生から本格化させ、高校野球に向けて体の正しい使い方を習得することを優先させている。
動作改善の専門家、「BBMC」の相澤一幸さんは、器具を使ったトレーニングを早期から導入することを推奨している。適度な負荷で無理なく行えば、骨の成長に必要な刺激を与えられ、身長を伸ばす手助けになるという。一方で、過去に筋力トレーニングに励む投手から「これだけトレーニングしているのにボールが速くならない」という相談を受けた経験があり、その原因を「ピッチングの動作にまで計画を練ってやっていない」ことだと分析。「肉体改造」ではなくプレーの質を高める「動作改造」こそが重要で、そのためには個々の選手に合った体の使い方を見極めることが、正しいトレーニングへの第一歩となるという。
プロトレーナーの船木永登さんは、ウエートトレーニングの効果が出ない根本的な問題として、「そもそも体のバランスが悪いままトレーニングをしているケースが多い」と語る。筋力をつける前に、力を正しく伝えるための体の土台ができていなければ、パフォーマンスは向上しない。船木さんが重要視するのが、足裏の「立方骨」や平衡感覚を司る「前庭」といった、体の安定に関わる部分だ。側転などでバランス能力を鍛えることで、結果的にパワーを最大限に引き出すことに繋がり、パフォーマンス向上という成果に結びついたケースもあるという。
3人の専門家に共通するのは「筋力は野球のパフォーマンスを高めるための1つの手段に過ぎない」という点だ。トレーニングの背景にある論理を理解せず、見よう見まねになってはならない。まずは選手の体の現状を正確に把握し、個々の課題に合わせた動き作りから始めることが、最も確実な成長への道筋。闇雲なトレーニングは、時間と労力を浪費するだけでなく、選手の可能性を狭めてしまうことにもなりかねない。
・おもりの重量など、筋力数値の向上自体をゴールに設定しない。
・トレーニングは、野球の具体的な動作に結びつけて考える。
・必要に応じて専門家の助言を仰ぎ、選手の体の土台作りを優先する。
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