
ジュニアランニング指導員の資格も持つ高崎中央ポニー監督…走力アップのポイントを解説
「最初の5歩」が勝敗を左右する。今年7月に行われた中学硬式野球ポニーリーグの全日本選手権を制した「高崎中央ポニー」(群馬)の倉俣徹監督は、「塁間の走塁はスタートから5歩で全てが決まってしまう」と力説する。チームではシートノックと走塁を並行して行うなど実戦形式の練習を重視。足を絡めた攻撃で、ポニー移籍1年目で頂点に立った。First-Pitchでは小学生・中学生世代で全国制覇を成し遂げた指導者を取材。走力アップのポイントを日本一監督が解説した。
塁間は27.43メートル。目標数値は3年生が4秒3以内(できれば4秒0以内)、2年生は4秒6、1年生は4秒台だという。その理由を「中・高校生の50メートル走の指標が6秒6。体力テストで10点満点もらえる基準です。塁間27.43メートルに約23メートルを加えると50メートルになります。加速した状態で23メートルを2秒5で走ってくれるという計算です」と説明。仮に塁間4秒0で、残り23メートルを2秒5で走れば6秒6を切る。高校レベルを意識して取り組んでいる。
走力アップを考える上で、重要視しているのがスタートだ。「最初の5歩が全てです」。自動車を例に「スポーツカーや普通自動車はすぐに加速できますが、ダンプとかトラックは加速したら速いけど加速するまでに時間がかかります」とし、「例えば肥満気味の子とか筋肉の少ない子は、トップスピードになかなか上がらない。そこをできるだけ短くするには5歩が大事なんです。そこでいかにトップスピードまで上げるかにかかっています」と力を込めた。
意識するのは「太もも」「お尻」「ふくらはぎ」の抗重力筋と呼ばれる3点の強化。その中でいかに地面を力強く押せるかが、タイム短縮の鍵となる。加えてポイントとなるのが腕の振り。「例えば垂直跳びでも、腕の振りを使わずにジャンプするのと、腕を振って反動をつけるのでは全然違うでしょう。だからしっかり腕を振る。脚の力が7割、腕の振りが3割です」。全国舞台では1つの走塁が勝敗を分ける場合もある。全力疾走は当然やるべきで、タイムが速いに越したことはない。
走るのは走塁だけじゃない…守備での打球の追い方にも注目

仮に腕が真っすぐ前後に振れていなくても、力強く振りさえすれば塁間ならタイムに影響はないという。「30メートルまでは、地面を押す力さえ強ければストライドが伸びる。腕が横振りでも(塁間)3秒95の選手もいます」。走るフォームによるタイムの変化については「腕を横に振ろうがガニ股で走ろうが大きくは変わらない。ウエートリフティングの選手だろうが陸上の短距離選手だろうが、30メートルまでは変わりません」と強調した。最初の5歩で勢いがつけば、塁間は失速しないのである。
もちろん、長打などで長く走る場合は変わってくる。「腕の振りがおかしいと塁間以上の場合はなかなか加速しないし、タイムは変わってきます」。トップスピードを維持するには「重心を高くしたり胸を張ったり、目線を遠くにとか意識しないといけません」とし、「地面を見て走っている選手も結構います」と苦笑いした。
トップスピードで走るのが重要なのは、走塁だけではない。「守備があります。走っていって捕球する瞬間にグラブを上げる選手はセンスがある」。打球を追いながら両手を上げたり、グラブを上げたりしているとスピードが上がらず、打球に追いつくまで時間がかかる。「追いながら同時に手を上げてしまうのは初心者。目で球を追いながらも腕を全力で振る、ということをやってくれないと」。中学生でも求めるハードルは高い。
そんな中でも塁間を3秒台で走る選手が複数いるから、チームは強い。現在の1年生は入学時点で平均4秒71とレベルが高い。「4秒台でいいところを4月で4秒71ですからね。しかも今日(取材日)の測定では4秒58で、4月と比べてマイナス0秒13。成長の差はありますが、一般的に言えば中2を境に男子はグンと“男らしく”なる。背が伸びて、ひげが生えて、声変わりして、そうするとすごく伸びてくるんです」。
倉俣監督は10月末開催の「日本一の指導者サミット」に出演予定。入学直後から好記録を叩き出し、今後の成長が楽しみな好素材の選手が多いチームが、どこまで“加速”していくのか期待したい。
中学硬式ポニーリーグで全国制覇…高崎中央ポニーの指導・練習法を紹介!
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