“真剣小学生”が1か月でどれだけ球速アップできる? 異例練習会に学ぶ「成功への逆算」

福岡ソフトバンクホークスジュニアが選考会前に2度の練習会…充実のドリルも
小学生が真剣に1か月間練習をすると、どれくらい能力が伸びるのか――。年末に開催される「NPBジュニアトーナメント KONAMI CUP 2025」で連覇を目指す福岡ソフトバンクホークスジュニアは、今月20日から始まったセレクションに先立ち、4月下旬と5月下旬に小学5、6年生を対象とした練習会を実施した。選考会前に練習会を開くのは12球団初の試み。嘉弥真新也新監督率いるチームの参謀役を担う若林隆信コーチ(元中日、広島)は、「どれだけ自分が成長できるかを“逆算”し、継続できる子は伸びます」と語る。練習会開催の狙いと成果について話を聞いた。
16人の狭き門、ジュニア入りに興味を持つ小学生たちに直接、選考会本番前に“虎の子のコツ”を伝授する――。そんな異例の練習会は、福岡近郊だけでなく遠くは鹿児島や四国、沖縄から64人が参加して実施された。ファーム本拠地・タマホームスタジアム筑後を舞台に、4月26日・27日の第1回では投球スピード、スイング速度、30メートル走などの計測。5月25日・31日の第2回では、第1回と同じ計測とともに、フリー打撃やシートノックなどを通じたより実践的な指導も行われた。
「ホークスジュニアがどんな考えを持って指導しているのかが遠方の方もわかるし、何も知らずに選考会に臨むよりは絶対にいい。教えられることは惜しみなくお伝えしようと考えました」と、若林コーチは実施の意図を語る。
その言葉通り、練習会当日だけでは終わらず、30ページ弱にわたる「自主練習用ドリル」が配布されたのも大きな特徴だ。中身は嘉弥真監督、三代祥貴コーチも含めジュニアチームで練り上げた投球、打撃、守備、スプリント、ストレッチのドリルと毎日の練習メニュー。第1回練習会→第2回練習会→1次選考会と、各1か月間でどれだけ成長できたかが可視化でき、昨年メンバーの平均値・最高値との比較もできる。
「高校生にもやってもらいたいというくらい、基礎的だけれど大事なドリル。選考会までにどれくらい目標を持っていくか、どれだけ自分が成長できるか。そこまで含めて考えられるようになってほしいと思いました。“逆算”して考え、継続できる子は伸びますから」
打撃のパワーポジションの作り方、投球に必要なインナーマッスルの鍛え方など、日々のメニューは真剣に取り組めば1時間〜1時間半はかかる充実した内容だ。子どもの継続する意志の強さや、保護者の支えも不可欠で、ホークスジュニアとしてもLINEのオープンチャットを利用したオンラインサポートを実施し、親身になって夢に向けて頑張る親子を支援した。
球速が6キロアップした子も…「同じことをしては連覇はない」の思い

では第1回→第2回の1か月間でどれだけ成長したのか。結果は全ての項目において参加者の平均値がアップしていたという。球速については6キロ、スイング速度については11キロも伸びた子もいた。
もちろん、高学年は成長期であることも加味しなければいけないが、「1か月での成長速度は本人の自信につながった」「球速が5キロ近く上昇。引き続き自主練に取り組めている」などと保護者からも多くのポジティブな言葉が寄せられたという。
異例の練習会を実施した理由には、「去年と同じことをしていては連覇はない」という指導陣の思いもあるという。若林コーチが就任した2023年はベスト4にとどまり、昨年は全体練習後に個々の課題練習の時間を設けるなど「自主性を育む」ことに力を注いだ。
その結果、最終的には選手たち自らミーティングを開いたり、本大会でも積極的に走ったり、セーフティーバントを仕掛けたりするまでに成長した。「満足したらそこで終わり。常にプラスアルファがないと」(若林コーチ)というコーチ陣の上昇志向が、16球団の頂点につながり、今年の新たな取り組みにもつながっている。
20日から始まったスポーツ用品店と組んでのコンテストによる1次選考は、「投球スピード100キロ」「スイング速度115キロ」のいずれかを超えるのが合格ライン。そして、昨年のVメンバーは平均球速108.8キロ、スイング128.7キロとさらに上のレベルにある。第2回以降で、参加者たちがまたどれだけ成長できているか。「積み重ねが力になるということを実感してもらえれば」と、若林コーチは8月まで続くセレクションでの“再会”を楽しみにしている。
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