なぜ高校時代に157キロ投げられた? 元燕・由規が伝授、球速UPに繋がった練習

公開日:2022.07.22

更新日:2025.09.22

文:新保友映 / Tomoe Shimbo

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仙台育英時代は157キロ記録…現在はBCリーグ埼玉武蔵で投手兼任コーチ

 ルートインBCリーグ・埼玉武蔵の由規投手兼コーチは、仙台育英高で最速157キロを計測し、ヤクルト時代には当時の日本人最速161キロを記録した。身長179センチと決して大柄ではない体で、なぜ剛速球を投げられるのか。少年時代の練習法、体の使い方や考え方には、速い球に憧れる少年野球の子どもたちへのヒントが詰まっている。

 由規は、硬式野球チームで小学4年生から野球を始めた。グラウンド以外で硬式ボールを使って練習するのは難しかったが、おもちゃのゴムボールやテニスボール、ドッジボールなど、大きさや重さが異なる様々なボールを投げていた。

「年齢が上がってくると、見た目でボールの重さは大まかに分かります。自然と重さに合わせた体の使い方をするようになるのですが、子どもの頃は、どんなボールでも、がむしゃらに全身を使って思いきり投げます。それが、意外と大事なんです」

 大人になれば、小さかったり軽かったりするボールは手首や腕の力だけでも速く投げられる。ところが子どもは、どんなボールでも体を大きく使って投げる。大きかったり、重たかったりするボールは、全身を使って力を伝えようとする動きが、野球で速い球を投げる上で大切になるという。

「子どもの頃にやっていて特に良かったと思うのがドッジボールです。野球のボールと違って指先だけでは掴めません。速く投げるには、体全体を使います。こうした動きは体が大きくなってからする機会は少ないんです。子どもの頃にやっていたボール投げが、結果的に体をつくったんじゃないかと思います」

ブルペンのポイントは、速い球を投げる感覚と強度を体に覚え込ませる

元ヤクルト・楽天で現在はBCリーグ埼玉武蔵の由規【写真:荒川祐史】

 由規は仙台育英高3年の時に、自己最速157キロを記録。ヤクルト入団3年目の2010年には、当時の日本人投手最速記録を更新する161キロを計測した。高校時代から剛速球で知られていたが、ある日、急に球が速くなったわけではない。

「ひたすら投げ込みをしていました。その中で1球でも『これかも』という感覚があったら、その感覚に近づけるようにしていました。特別な練習をしたわけではなく、根気強くやっていくうちに体が自然と覚えていきました」

 由規は、練習から全力で投げられる体をつくり、速い球を投げる感覚を体に覚え込ませる作業が大切だと強調する。例え150キロを投げられる投手でも、コントロールを重視して140キロ台前半に抑えて投げ続けていると、体の強度や使い方が普段の球速に合わせた形になってしまうという。投手コーチ兼任の立場になった今、選手には、こう伝えている。

「例えば142、3キロを投げる投手に対して、練習のブルペンで30球投げるなら、25球はバランス良く、自分が意識したようにバッターを想定して投げる。残りの5球は、コントロールやフォームを気にせず、とにかく全身を使って投げるよう指導しています。全力で投げる強度を1回出しておくことによって、体が覚えていてくれます。それを練習の時にしていないと、142、3キロしか投げられないままなんです」

 速い球を投げるには、体の使い方にもポイントがある。由規が挙げるのは「体を回すスピード」。ボールにより強い力を加えるには、腕の振りだけではなく、体の捻りを利用することが大切だという。重いものを持って体を捻るトレーニングは一般的だが、由規が子どもの頃に何気なくやっていた体を大きく使って野球ボールより重いドッジボールを投げることも理にかなった方法と言える。

「投手は、マウンドからホームベースまで18.44メートルという決められた距離、決められた場所から投球します。外野手のように助走をつけられません。反動とまではいきませんが、いかプレートを使って自分で助走を作って回転できるかがポイントになります。そうすると、体を捻る動作を効率良くできる方法を考えると良いと思います」

 身長179センチでも、最速160キロを超える直球を投げ込んだ由規。体の使い方やブルペン投球での意識は、少年野球の子どもたちにも球速を上げるヒントになる。

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