【球速アップ攻略】たった1か月で17キロ速くなる 元巨人投手が教える“正しい”練習法

「もっと速いボールを投げて、バッターを打ち取りたい」
野球に打ち込む選手であれば、誰もが抱く目標です。しかし、自己流の練習や間違ったトレーニングは、球速アップを妨げるだけでなく、怪我のリスクを高めてしまうことさえあります。
この記事で紹介するのは、巨人や中日でプロ通算595試合に登板した前田幸長さんが、ご自身の経験と指導実績から編み出した、室内で1人でも実践できる球速アップメソッドです。前田さんが会長を務める中学硬式野球チームでは、この練習法を取り入れた結果、わずか1か月で球速が17キロもアップした選手もいるそうです。
たった2分半のトレーニングに、あなたのピッチングを劇的に変えるヒントが詰まっています。
Q. 球速アップのために、まず何から見直すべきですか?
Q. 自宅でできる効果的な球速アップトレーニングを教えてください。
Q. 短期間で球速アップするための最も重要なコツは何ですか?
専門家プロフィール
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○前田幸長(まえだ・ゆきなが)1970年8月26日、福岡県生まれ。福岡第一高校のエースとして3年時に春夏連続で甲子園出場。夏は準優勝に貢献した。1988年のドラフト1位でロッテに入団。1995年オフにトレードで中日に加入。2001年オフにはFA権を行使して巨人に移籍した。NPB通算595試合で78勝110敗9セーブ12ホールド、防御率4.17。引退後は中学硬式野球の「都筑中央ボーイズ」を主宰。First-Pitchと連動している野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT(ターニングポイント)」でも、育成年代の野球指導に向けたトレーニング方法や理論を解説。
なぜ上がらない? 球速アップを妨げる5つの原因と改善ポイント
ただやみくもに腕を振るだけでは、ボールに効率よく力は伝わりません。球速アップの鍵は、下半身で生まれたエネルギーを、体幹、肩、腕、そして指先へとスムーズに連動させることにあります。まずは、ご自身のフォームに以下の5つのポイントがしっかりできているか、一緒に確認してみましょう。
1.グラブの使い方:投球のバランスを安定させる羅針盤
ボールを持つ腕だけでなく、グラブ側の腕の使い方がフォームの安定を左右します。勢いよく回転する体の中で、グラブ側の腕がバランスを取ってくれることで、力のロスを防ぎ、安定した投球を可能にします。
2.軸足の使い方:力を溜める土台
力強いボールは、しっかりとした土台から生まれます。投球動作の最初に、軸足で地面をぐっと捉え、ブレずに立つことで、前方への爆発的なエネルギーを溜め込むことができます。軸足がぐらついてしまうと、力の伝達効率が大きく低下してしまいます。
3.前足の使い方:体重移動のブレーキ役
軸足で溜めた力をボールに伝えるには、踏み出した前足で体に“急ブレーキ”をかける必要があります。前足がカベの役割を果たすことで、下半身のエネルギーが上半身へと突き上げられ、腕の振りを加速させます。
4.腕の使い方:下半身の力を伝えるムチ
腕は「振る」のではなく「振られる」という意識がとても重要です。下半身と体幹の回転によって生まれたエネルギーが、ムチのようしなって腕に伝わることで、腕の振りのスピードが最大化されるのです。
5.肩甲骨の柔軟性:しなやかな腕の振りを生み出す
肩甲骨周りが硬いと、腕の可動域が狭くなり、しなやかな投球の妨げになってしまいます。肩甲骨を柔らかく保つことは、腕の振りをスムーズにし、ボールをリリースする瞬間まで効率よく力を伝えるために欠かせません。
【実践編】自宅でできる!球速アップを実現する最強サーキットトレーニング
基本的な体の使い方を理解したところで、いよいよ前田さん直伝のトレーニングをご紹介します。数々の強打者を抑えてきた前田さんは、「球速アップには、一瞬の爆発力が重要です」と語っています。
ここでご紹介するのは、その爆発的なパワーと、投球フォームを支える体幹を同時に鍛える、5種類のサーキットトレーニングです。
【トレーニングのルール】
・各種目を20秒間全力で行いましょう。
・種目間に10秒間の休憩(インターバル)を挟みます。
・5種目すべてを行って1セット(合計2分30秒)です。
・1日に3セットを目標に実践してみてください。
メニュー① バーピージャンプ
全身の瞬発力と心肺機能を高めていきます。立った状態から腕立て伏せの姿勢になり、そこから素早く立ち上がって高くジャンプしましょう。着地する時に腰を反らさないことがポイントです。
メニュー② マウンテンクライマー
体幹の安定性と股関節の可動域を向上させます。腕立て伏せの姿勢を保ちながら、左右の膝を交互にリズミカルに胸へと引き寄せます。この時、頭からかかとまでが一直線になることを意識しましょう。
メニュー③ 屈んで連続伸脚
下半身の粘りと瞬発力を養います。両手を地面につき、伸脚の姿勢からジャンプするように左右の足を素早く入れ替えます。腰の高さを一定に保つと、さらに効果が高まります。
メニュー④ 真上に昇竜拳ジャンプ
下半身のパワーと体の回旋力を鍛えます。深くしゃがみ込み、真上に全力でジャンプすると同時に体を180度ひねりましょう。下から上へ突き上げるような力強いジャンプが大切です。
メニュー⑤ ダイアゴナルジャンプ
バランス能力と横方向への瞬発力を強化します。片足立ちの状態から横方向へ大きくジャンプし、もう片方の足一本で着地します。着地した時のブレを体幹でぐっと抑えることが重要です。
重要なのは「継続」。初心者でも成長できます
「このトレーニングで最も大切なのは、『毎日欠かさずやること』です」と前田さんは語っています。もし1日3セットが難しくても、まずは1セットからで大丈夫です。継続することで、体のキレやバランス感覚がどんどん良くなっていくのを実感できるはずです。
実際に前田さんのチームでは、野球初心者だった選手もこのトレーニングを日課にすることで、大きな成長を遂げています。正しい知識に基づいた効果的なトレーニングを続けることが、才能を開花させる鍵になるのです。
球速アップに関するQ&A
Q. 球速アップのために、まず何から見直すべきですか?
A. 球速を上げるには、まず全身の連動性を見直す必要があります。ボールを持つ腕の動きだけでなく、グラブ側の腕の使い方、軸足での力の溜め、踏み出した前足でのブレーキ、肩甲骨の柔軟性など、下半身から指先までスムーズに力を伝える投球フォームができているかを確認することが、球速アップの第1歩になります。
Q. 自宅でできる効果的な球速アップトレーニングを教えてください。
A. 元プロ野球選手の前田幸長さんがお勧めする、上記の「5種類のサーキットトレーニング」が効果的です。これはバーピージャンプやマウンテンクライマーなどを組み合わせた、器具もいらないトレーニングです。1セットわずか2分半で、球速アップに不可欠な「瞬発力」「体幹」「バランス能力」を自宅で効率的に鍛えることができます。
Q. 短期間で球速アップするための最も重要なコツは何ですか?
A. 短期間での球速アップで最も重要なコツは、「一瞬の爆発力」を高めるトレーニングを「毎日継続する」ことです。短時間で高い負荷をかける運動を習慣にすることで、体にキレが生まれ、ボールに伝わるエネルギーが最大化されます。正しい方法で継続すれば、1か月といった短期間でも成果が期待できます。
普段の練習メニューや課題解決に向けてどんなトレーニングをしていいか迷う指導者も少なくない中で、実績のある元プロ野球選手や専門家たちの意見は参考になるはずです。前田さんも出演している野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT(ターニングポイント)」では、最先端の理論などをもとにした練習ドリルやトレーニングメニューが公開されています。簡単な無料登録で、200本以上の動画が見放題。野球指導の“サポート”をしてくれます。
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