小学生に伝えたい基礎をオリックスの山崎勝己バッテリーコーチが語る
野球のなかで捕手は特殊で大変なポジションと言われている。肩の強さ、キャッチングなどが“評価”される要素だが、ダイエー、ソフトバンク、オリックスで20年間プレーし、2021年からオリックスのバッテリーコーチを務める山崎勝己氏は「股関節、足首の柔らかさは絶対に必要。大人になってから直すのは難しい」と語る。
昨年12月に母校・報徳学園で行われた野球教室に参加した山崎コーチ。子どもたちに捕手としての心構えを説いた。捕手は試合の中で9割以上は中腰で守ることになる。ショートバウンドの捕球、ブロッキング、座った姿勢から立ち上がって投げる送球――。プレーに必要な動き出しの全ては股関節、足首などの下半身が重要になってくる。
細かな技術が必要になるフレーミング、二塁送球なども重要だが、少年野球については「まずは基本の動作を覚えてほしい。特に下半身の柔らかさは、絶対に子どもの時に養ってほしいですね。ここを怠るとカテゴリーが上がっていくごとに苦労します」と指摘する。
プロ野球選手でも股関節、足首の固い選手は多く「そういった選手は怪我も多い。若い時は上半身の強さでカバーできますが、年齢を重ねて“強さと勢い”が無くなっていけば、全てのプレーの質が下がっていきます。安定したプレーを支えているのが下半身」と指摘する。
和式便器が洋式に変化、簡単にできたボール遊び、田んぼを動き回ることも激減
現役時代、そして指導者になってからも数多くの捕手を見てきた山崎氏は「特に足首に関しては、時代と共に固い選手が多くなってきた気がします。大人になってから直すのは難しい」と語る。
山崎氏が小学生の頃にはあった和式便器も、今では多くの学校が洋式便器に変化。“便所座り”が、できない子どもたちが増えている。さらに公園で簡単にできたボール遊びや田んぼで泥だらけになって遊ぶことも少なくなってきた。
昔は“当たり前”だったことが、時代の流れと共に変化しているだけに「だからこそ、捕手をやるなら幼い頃から股関節、足首を意識してほしい」。少年野球の指導者に対しては目先の技術に走るのではなく、基礎の部分をチェックすることを心掛けてほしいと感じている。