捕手からの送球は「絶対に止める」 名手が子どもたちに説くベースカバーの心構え

公開日:2023.01.11

更新日:2023.09.02

文:大利実 / Minoru Ohtoshi

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捕手からの送球を捕るときに最も大事なこととは?

 オリックス、日本ハム、ヤクルトで遊撃手として活躍した大引啓次さんは守備のどこをとってもハイレベルだった。捕球が上手くなるコツの“引き出し”を多く持ち、キャッチボールでグラブを持つ手について、子どもたちには「窓を拭く」ような動きが大切だと説く。ボールを扱う動作だけでなく守備位置、ベースカバーについても多くの助言を送る。捕手からの送球は体で絶対に止める意識を持っていたという。

 少年野球の場合、相手の機動力にかき乱され、大量点を失うことがある。ピッチャーのクイックは未熟で、キャッチャーの送球も不安定。走られるのは仕方ないが、大引さんは「二遊間がカバーできることもある」と語る。言葉の真意はどこにあるのか――。

「盗塁のベースカバーに入るとき、最も大事にしていること」について大引さんは「送球を後ろにやらないことですね。ショートバウンドが来た時にグラブで捕りにはいきますが、捕れなくても自分の胸に当ててボールが前に落ちるように心がけています。送球のラインを外して、グラブだけで捕りにいくのではなく、胸はライン上にあるようにするということです」

 逆シングルで“勝負”にいくも捕球できずにセンター方向に抜けていくシーンは、どの世代でもよく見られる。結果、キャッチャーに「失策」が付き、一塁走者は三塁に進んでしまう。「僕としては後ろに逸らしたショートのエラーだと思っています。キャッチャーにエラーが付くのは、あまりにかわいそう。ショートの意識ひとつで防げるエラーです。僕がキャッチャーの立場だったら、『ショート、体で止めてくれ!』と思います。自分が頑張れば防げるエラーは防いでいきたいんです」。

二遊間は仲間のミスを「カバーできるポジション」

 二塁手が二塁ベースに入り、遊撃手がバックアップに回ることもある。この時も考え方は同じだ。「本気でバックアップに走れるかどうか。実際にはセカンドが触れなかった送球を、バックアップに入ったショートが捕ることはかなり難しいと思います。それでも、セカンドが少しでもグラブに触れれば、送球の勢いが弱まり、センターまで転がらない時があります。この場合はすぐにボールを拾い上げて、ランナーを三塁に行かせないようにしたい」と述べる。

 さらに「野球は助け合いなんです。誰かがミスをしたら、そのミスが広がらないように誰かがカバーをする。特に二遊間は、そのカバーができるポジションだと思います」と力を込める。これは、技術の話ではなく、意識の問題だろう。やろうと思えば、少年野球からできることだ。。

「キャッチャーからの返球も同じです。ランナーがいる時に悪送球に備えて、二遊間がバックアップに入れるか。キャッチャーの悪送球で負けるようなことがあれば、その選手が責任を背負い込むことになります。バックアップひとつで、誰かの人生を救ってあげることもできるんです。僕が子どもたちや高校生を指導する時には、こういう話から入ります。技術指導はその先にあるものだと思っています」

「一事が万事」という言葉があるように、小さなことを大切にしておかなければ、大事なプレーのときに体が動かなくなってしまう。小学生のうちから、「助け合い」の意識を持って野球に取り組んでいきたい。

【動画】名遊撃手・大引啓次さんが教える捕球のコツ 「窓を拭く」感覚が分かりやすい

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