
旧全国スポ少で優勝…奈良・西大寺ドリームズ監督が取り組んだ意識改革
野球の指導において、「厳しい」と「楽しい」の割合はどうあるべきか。今年8月に三重で開催された「エンジョイ!軟式野球フェスティバル」(旧・全国スポーツ少年団軟式野球交流大会)で初優勝した奈良の少年野球チーム「西大寺ドリームズ」の宮木健一監督が28日、野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」が実施するオンラインイベント「日本一の指導者サミット2025」に出演。日本一のチームを作る指導の一端を披露した。
宮木監督は2004年に「西大寺ドリームズ」を設立した。奈良県内の強豪として知られ、大阪桐蔭高や近江高などの名門校に教え子を多数輩出。巨人でプレーする門脇誠内野手は卒団生の一人だ。
イベント冒頭で監督自らユーモアを交えた指導を行う映像が流れると、宮木監督は「私が一番楽しんでいるかも分かりません。子どもを笑わす引き出しは増えてきています」と笑顔を見せた。以前は「10のうち9は厳しい、1は楽しい、が野球だと思っていた」というが、徐々に考えが変化し、61歳になった今は「厳しい」と「楽しい」を要所要所に散りばめる指導スタイルになったそうだ。
これにはゲスト出演した「町田玉川学園少年野球クラブ」(東京)の菊池拓平監督も「指導者が楽しまないと子どもたちも乗ってこない。楽しく、なおかつ思い描く育成ができたらそれが一番」と共感。宮木監督に影響を与えた指導者の1人である「多賀少年野球クラブ」(滋賀)の辻正人監督も、「楽しませるために大切なのは言葉。言葉1つで練習メニューを変えなくとも楽しませることはできる」とうなずいた。
昨夏から米国式「パームアップ打法」を導入したワケ

「以前は昭和の野球をやっていたけど、今はそういうのはやめました。指導者は子どもと一緒に成長して学ばないといけない。『俺はこうだからこういう野球をやる』ではなく、子どもたちとの接し方や導き方を変えないと成長はできません」
こうも口にした宮木監督は、日々指導法をアップデートしている。昨夏からは、従来のバットを上からたたきつける打撃とはうって変わる米国式の「パームアップ打法」を導入。多くのプロ野球選手を指導する根鈴雄次さんやソフトバンクでスキルコーチを務める菊池タクトさんを自ら訪ね、まずは監督自身が打球の角度やスピードを上げるためのドリルを学んだ。それをどう実践し、子どもたちに伝えるかは夜な夜な考えたという。
根底には、「子どもにとって何が一番楽しいかというとホームランを打つこと。1番から9番までホームランを打たせたい」との思いがある。結果的に長打が増したことが日本一に輝いた要因の1つになったが、そもそもは子どもたちを楽しませるために舵を切ったことが端緒となった。
「子どもの好奇心をストップさせずに野球をさせるのが我々の使命。そのためには大人が好奇心を持って、楽しまないといけない。思い切って変えることで化学反応が起きるかもしれない」とは辻監督。全国制覇経験のある監督が育成論を語り合う「日本一の指導者サミット2025」は31日まで開催。令和の指導法は刻一刻と変化を続けている。
「日本一の指導者サミット2025」10月31日(金)まで開催中…見逃し配信もあり
Full-Count、First-Pitchと野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」では、10月27日から5夜連続でオンラインイベント「日本一の指導者サミット2025」を開催中。
小学生・中学生の各野球カテゴリーで全国優勝経験がある全11チームの監督を招き、日本一に至るまでの指導方針や独自の練習方法について紹介しています。参加費は無料。見逃し配信もあり。登場チームなどの詳細は以下のページまで。
【日本一の指導者サミット2025・詳細】
【参加はTURNING POINTの無料登録から】




