体感140キロ超の剛腕をどう攻略? “真の日本一”チーム実践…「角度に慣れる」打撃練習

3rdエイジェックカップ初出場初優勝、東海中央ボーイズ監督が明かした取り組み
投打の戦略が見事にはまっての“日本一達成”だった。中学硬式野球5リーグの全国王者が激突する「3rdエイジェックカップ 中学硬式野球グランドチャンピオンシリーズ」が8月27〜29日に開催され、ボーイズリーグ代表の東海中央ボーイズ(愛知)は、神宮球場で行われた29日の決勝戦で、ヤングリーグ代表のオール岡山ヤング(岡山)を1-0で撃破。初出場で初優勝を飾った。チーム創設13年目でつかんだビッグタイトル。竹脇賢二監督が全国大会を勝ち抜くための取り組みを明かした。
2023年春のボーイズ全国大会で日本一の経験はあるものの、5リーグの優勝チームによる争いを制しての“真の日本一”は格別だ。「日本一になりたい気持ちはどこも同じ。どれだけ上回れるか、最後は気合と根性、執念と意地だと、『1番と2番じゃ違うんだぞ』ということを試合前に伝えました」。竹脇監督は強い言葉で選手を鼓舞したことを明かし「2年前に優勝してから、全国を獲るためのやり方は明確にチームとしてわかっているつもりです。選手にも伝えて1つずつやってきました。狙って優勝を獲れたところは選手の頑張りに尽きる」と奮闘を称えた。
「全国で勝つには投手の枚数や配球、ディフェンス力が大事。打撃は135〜140キロの投手を打つためにとにかくミート力を上げることです」。チームには13人の投手が在籍。今夏の全国大会は8人の投手を起用し、今大会はそのうち5人がベンチ入り。決勝は4投手の小刻みな継投で完封した。0-0の5回1死一、二塁ではカウント1-0の場面で投手交代。併殺でピンチを脱し「あそこでまた、うちに流れが来ました。うまくはまりましたね」とズバリと決まったタクトを振り返った。
打線は好機にあと1本が出ない展開が続いたが、7回1死三塁から狩野蓮義外野手(3年)が「自分が打ってチームを勝利に導こうと思っていました。完璧でした」と決勝の右越え三塁打。バットを短く持ち、フルスイングで内角低めに食い込んでくるスライダーを捉えた。
全国の舞台では本格派の長身投手との対戦が多くなる。練習ではベースを5メートルほど前に出してマウンド方向に近づきマシン打撃を行うという。竹脇監督は「投手やマシンの距離感を変えて、感覚をつかむ感じです。それと近距離で打って目を慣らす。目と体を慣らしてタイミングの取り方を早めにとる練習をやってきました」と説明。「180センチ以上の投手が相手の場合もある。大事なのは角度に慣れること。普段見ていない角度だと対応が難しいので、近距離で角度のついた球を打つ練習をしています」と続けた。
最低でも指2本分、バットを短く持ってフルスイング

決勝こそ1点止まりだったが、28日に行われたフレッシュリーグ代表の佐賀フィールドナイン(佐賀)との準決勝は8安打3得点。179センチの本格派右腕で130キロ台中盤の直球が持ち味の久我海俐投手(3年)を鮮やかに攻略した。「夏の(ボーイズリーグの)全国大会でも6試合中、5試合は135キロを超える投手を攻略してきました。地力はついてきていると感じます」。体感140キロ超の剛球を打つ練習を繰り返した成果で、決勝前から確かな手応えをつかんでいたのだ。
もう1つ、打者に徹底させているのが「バットを短く持ち、ボールをギリギリまで引きつけて体の力を使って打つ」ということ。全ての打者に最低でも指2本分はグリップから空けてバットを握るように指示し、初球からフルスイングさせる。「試合になったらファウルで逃げたり、見極めたりしないと勝負にならないので徹底させています。場合によっては3本分空けてフルスイングすることもあります」。
全国大会は春2回、夏5回、ジャイアンツカップ2回を含めて今回で区切りの10回目の出場。2度目の日本一だが、初めて“王者の中の王者”となった喜びは大きい。「OBが財産を残してくれて、今回につながりました。13年間積み上げてきたものが形になりました」。明確なプランを立て、入念に対策を練り、選手が実行する。会心の優勝だった。
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