小学生はテクニックから教えても「逆に遠回り」 全国V8度の強豪がこだわる“質より量”

今夏、全日本学童大会8度目制覇…長曽根ストロングス「成長を見届けるのが仕事」

 野球が上手になるための近道はない。毎日コツコツと努力を続けることこそが、とんでもないところにいくただ1つの道だ。今夏の「高円宮賜杯 第45回全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメント」で、史上最多となる8度目の全国制覇を成し遂げた大阪の学童軟式チーム「長曽根ストロングス」の熊田耐樹総監督が、10月31日、野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」が開催したオンラインイベント「日本一の指導者サミット2025」に出演した。

 これまで37年間、チームの指導に携わり、西川愛也外野手(西武)らOB選手を輩出してきた。そんな名将をしても「選手を上手くするための特効薬や魔法の指導はない」と断言する。

「故障をするような過度な練習はダメですが、ある程度は量をこなすことが必要です。学童野球はテクニックから教えると、逆に遠回りすることがあります。例えば10段階のレベルがあるとして、1、2、3を教えないといけない段階で、いきなり7、8、9を教えると、かえって遠回りするんです。投げ方でも、いきなり『肘を抜いて投げろ』と言ったところで、できるはずがありません。しっかりと段階を踏んで教えていき、成長を見届けることが我々の仕事だと思っています」

 自らを「昭和の人間」と言うように、練習は決して生易しいものではない。打撃練習では、通常の大人用複合バットの他に、長尺バット、重さ1キロの竹バットの3種類を使用。常にフルスイングでミートさせることを意識させ、1日200球を打たせることもある。今夏のマクドナルド・トーナメント6試合で34得点、1試合平均5得点以上を奪った強力打線は、こうした日々のたゆまぬ努力によって形を成していった。

東16丁目フリッパーズ・笹谷武志監督「長曽根さんは1歩目が本当に速い」

軽快な守備も長曽根の武器の一つだ【写真:小池義弘】

 さらに、選手全員、計1キロのアンクルウエートを着用。ノックやランニングメニューの時も、両脚には重りがついたまま、俊敏な動きを見せる。イベントに参加した東16丁目フリッパーズ(北海道)の笹谷武志監督は、「長曽根さんのノックを見ていると、球際の強さも際立っているのですが、打球の反応、1歩目が本当に速いんです」と証言する。

 熊田総監督も1歩目の反応には特にこだわっている。アンクルウエートを外して臨む実戦で、100パーセントの力を解放した選手たちの動きは、まるで羽が生えたように軽やかだ。

「内野は最初の3歩、外野は5歩目までを速くしろということを徹底的に言います。間違ってもいいから1歩目のスタートを速く切らせていくことで、子どもなりに吸収していき、上手くなっていくと思います」

 負荷をかけた状態で厳しい練習をこなすのは楽ではない。体重の軽い下級生ならなおさらだろう。ただ、野球講演家の年中夢球(ねんじゅう・むきゅう)さんは「覚悟が決まったら、最後まで頑張り抜く根性がついてくる。根性という言葉は必要だと思っています」と熊田監督の熱い思いに同調する。

 勝ち続けることは簡単ではない。ただ、努力を続けたその先にしかたどり着けない境地がある。5日間にわたって開催された「日本一の指導者サミット」は、育成世代の指導に携わる大人たちに様々な気づきを与えてくれた。

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