
今夏の東北大会を制した岩手・東朋中は「昭和9割、令和1割の融合スタイル」
野球の指導現場では使われる機会が減った「根性」という言葉。今夏の「東北少年軟式野球大会」を制し、来春には全国大会にも出場予定の岩手・大船渡市立東朋中軟式野球部(東朋野球クラブ)で指導する鈴木賢太コーチは、「時代錯誤かもしれませんが、選手には『根性は必要』だと口酸っぱく言っています。技術を突き詰めれば野球はうまくなりますが、気持ちの部分も大切です」と話す。同時に「うちは『昭和9割、令和1割の融合スタイル』なので世の中的には受けが良くないと思いますよ」と苦笑いを浮かべたが、そこには明確な意図がある。
東朋中では多い日は1000回、少ない日でも300~400回はバットを振る。タイヤを押し引きするドリルも、追い込み時期は塁間の距離で15~20セット行う。鈴木コーチはその理由を次のように説明する。
「数がすべてではないと分かっていますが、数は自信の根拠になります。自信を持って打席に入るのと不安だらけで打席に入るのとでは、結果もおのずと変わってくる。最終回、2死走者なしの場面でもバタバタせずに仕事をして、何点差でも最終的には勝てるところまで持っていく。どんな時でも諦めない気持ちを持って挑戦する。そのためには自信が必要です」
もちろん、父母会では保護者に練習量の多さについて意図を伝える。中学生は成長期で故障のリスクが高い年代のため、オーバーワークにならないよう細心の注意を払う。その上で選手には「数」を課す。
「自信をつけさせて、最終的に試合をひっくり返すのが目的」

11月中旬の東朋中グラウンド。タイヤの押し引きで汗を流していた只野大智選手(2年)は「脚力が強化されるだけでなく、根性もつきます」とドリルの効果を教えてくれた。「入学したばかりの頃はピンチの場面などで怖さを感じていましたが、今は怖くなくなりました」とも胸を張った。
また主将の志田栄駿選手(2年)にチームの良さを問うと、「自分たちはどの中学校よりも『絶対に勝つ』『絶対に負けたくない』という気持ちが強い。逆転する力もあります」との答えが返ってきた。今年8月の「東北少年軟式野球大会」は大船渡中との連合チームで臨み優勝。その後、2年生世代は「岩手県少年軟式野球新人大会」でも頂点に立った。選手が練習で手にした「自信」は間違いなく結果につながり始めている。
「『根性は必要』と言っていますが、すべて『根性』で片付けてしまってはいけない。結局は自信をつけさせて、最終的に試合をひっくり返す。そして生きていく上で決して諦めないで挑戦するのが目的だということを忘れないようにしています」と鈴木コーチ。来年3月に出場予定の「全日本少年春季軟式野球大会」にも確固たる自信を持って臨む。
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