
徳島県軟連が2025度から導入した「リクエスト制度」…学童大会での反応は
徳島県軟式野球連盟は、子どもの野球離れを防ぎ、減少傾向の審判員を誹謗中傷から守ることなどを目的に、「協議(リクエスト)」制度を2025年度から全カテゴリーの試合に導入している。同連盟が毎年主催し、今年は8月5日から9日まで同県内で行われた「大鳴門橋開通40周年記念大会 阿波踊りカップ 全国学童軟式野球大会2025」でも採用され、公平かつ公正で、笑顔あふれる5日間となった。実際に制度を活用した監督や、選手、審判員たちの思いとは――。
選手だけでなく、指導者や保護者の心情に寄り添い、さらに審判の尊厳も守るための独自ルールとして「協議(リクエスト)」が導入され、全国軟式野球連盟の傘下にある団体としては全国初の取り組みだ。今年度から運営規則には次のように独自ルールが追記された。
「【19】プレー中に起こったジャッジメントに対して、明らかに誤審(セーフ、アウトのみ)であることが他の審判員や観客から見ても疑問がある場合に限り、当該チームの監督が申し出ることができる。リクエストは成功すれば何度でも受け付けるが、失敗した場合にはその限りとする。」
NPBのようなビデオでの確認はなく、審判員4人がマウンド付近で話し合い、球審が結果をベンチに伝える。導入を決めた同連盟の十川佳久会長は「野球にはいろんな役割があります。その全ての人が野球を楽しむことができる環境づくりを」と願いを込める。決勝へ進出した船橋フェニックス(東京)と浪速ナカマーズ(大阪)の監督もそれぞれ、プロ野球と同じように両手の指で四角を書くようにジェスチャーをしながら審判へ“リクエスト”を申し出ていた。
判定が覆らなくても、気持ちを切り替える助けになった

優勝した船橋フェニックスの森重浩之監督が、二塁でのタッチプレーをめぐり制度を行使したのは4回。二塁手の中司慧太くん(6年)は、走者をタッチアウトにできた自信がなかったという。やはり判定は覆らなかったものの、審判員にリクエストを申し立てる指揮官を見たとき、全力プレーを信頼してくれているように感じられ「嬉しかった」と振り返った。
他の大会や練習試合で判定に対して「もやもやしたことがある」と答えた中司くん。「試合が続いているので、すぐに気持ちを切り替えるように」と意識していても、晴れない感情をゲームセットまで引きずってしまった経験があるという。今大会で初めて自分のプレーについて、すぐさま審判団が話し合い、結論が出された。中司くんは心の整理がしやすかったとも感じていた。
準優勝した浪速ナカマーズの下田政一監督は、2点を追う5回、ホームへ突っ込んだ高橋英伸くん(6年)をタッチアウトとした判定にリクエストを申し出た。「どうしても点が欲しい場面でしたから」と期待を込めたが、判定が覆ることはなく、その回の攻撃中に制限時間を迎えて6-7で敗れた。
この決勝の球審を務めた増田恭太さんは「協議した結果、判定が変わることもありますが、それは明らかな誤審の場合です」と説明する。ジャッジした審判に対し、他の審判員が「違う」と意見すれば、判定は覆る可能性がある。
「それぞれの審判員も(選手や監督と同じように)真剣に野球と向き合い、大きな責任と使命感を背負ってグラウンドに立っています」と増田さん。公平かつ公正に努める審判員への理解を求めていた。
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