
今春初日本一…愛知尾州ボーイズの藤川正樹監督「グラウンドで笑ったことはなかった」
これまでの指導法を一変することは、指揮官にとって勇気がいることだ。ただ、その決断がなければ、頂点に辿り着くことはできなかったかもしれない。中学硬式チーム「愛知尾州ボーイズ」の藤川正樹監督が30日、野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」が開催したオンラインイベント「日本一の指導者サミット2025」に出演。今年3月のボーイズ全国大会「スターゼンカップ 第55回日本少年野球春季全国大会」で悲願の初優勝を成し遂げた背景には、「一念発起の指導改革」があった。
少年野球チームの指揮を執っていた藤川監督は、2004年から縁あって愛知尾州ボーイズを率いることになる。当時は今とは正反対の“鬼指導”。「グラウンドで笑ったことはなかった」と振り返る。
「中学の硬式野球は高校で甲子園に出たいとか、プロになりたいといった思いを持った子がやるもの。そうでなければ(学校の)部活で十分だという考えを持っていました」
就任当初は弱小クラブだった。それでも、少年野球チームの監督として実績を挙げてきたという自負心から「中学でも簡単に勝てるだろう」と高をくくっていたという。
しかし、そんなに簡単に勝てるほど中学硬式野球は甘くなかった。試合すれば、完膚なきまでに叩きのめされた。
「『今に見ていろよ』という気持ちが強く、子どもたちへの指導が『もっとやらないと勝てないだろう』というスパルタになってしまいました。それが美徳だと思っていました」
朝7時から夜9時まで練習する日もあった。ようやく念願叶い、2013年に春夏連続で全国大会に初出場。しかし、エースが序盤で疲れ切って敗退と、毎日をフルスロットルで駆け抜ける選手たちに、大舞台を戦い抜く体力は残っていなかった。
「夏に向けて練習量を増やしていたことは間違いありません。この時に『休ませる勇気』を自分の中で持ちました」
東海中央ボーイズの竹脇賢二監督も同調「時代とともに変わらなければ」

藤川監督は全国の舞台で味わった苦い経験の反省から、練習時間を減らし、積極的休養も導入。同時に、選手たちの自主性を重んじる采配へと切り替えたことで、チームは生まれ変わった。今春には初めて日本一に輝くなど、全国屈指の強豪へと進化を遂げた。
「やればなんとかなるものです。毎年何らかの意識改革、改善活動をやることが必要で、今年は結果が出たので、第一歩としてはいいかなと思っています」
同じ東海地区のライバルで、イベントに参加した「東海中央ボーイズ」の竹脇賢二監督は、「私も昭和生まれになりますが、時代とともに指導者が変わっていかなければならないのも事実。藤川監督のように変わることができた指導者が教えるチームの選手は成長しますし、強くなると思います」と同調。「BT野球スクール」の運営に携わる生島峰至(たかし)さん(大阪桐蔭OB)も、「選手に向けていた金棒を違う方に向け、自分の気持ちを鬼にしたという点で“鬼監督”だと思います」と力強くうなずいた。
ただ、竹脇監督は「過去の先輩たちが築いてきたものがあって今があるということも忘れてはいけません」と付け加えることも忘れない。現代の指導者は、時代に即した取捨選択を繰り返しながら、選手とともに成長を続けることこそ「美徳」なのだろう。日本一を経験した監督が語り合う「日本一の指導者サミット2025」は、31日まで開催される。
「日本一の指導者サミット2025」本日31日(金)最終日…見逃し配信もあり
Full-Count、First-Pitchと野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」では、10月27日から5夜連続でオンラインイベント「日本一の指導者サミット2025」を開催中。
小学生・中学生の各野球カテゴリーで全国優勝経験がある全11チームの監督を招き、日本一に至るまでの指導方針や独自の練習方法について紹介しています。参加費は無料。見逃し配信もあり。登場チームなどの詳細は以下のページまで。
【日本一の指導者サミット2025・詳細】
【参加はTURNING POINTの無料登録から】




