
昨年発足した学童野球チーム「浦和Lovers Jr.」…“母親目線”で進めるチーム運営
指導者の怒声罵声は皆無、練習は週1回で、保護者の業務負担なし――。埼玉県の学童軟式野球チーム「浦和Lovers Jr.(ラバーズジュニア)」は「野球を楽しむ」「自主性を養う」ことを目的に昨年発足した。代表を務めるのは4児のお母さん。“母親目線”で革新的なチーム運営に取り組んでいる。
「浦和Lovers Jr.」代表の玉井梨紗さんは、自身の子どもがかつて所属していた野球チームの取り組みに違和感を覚えていた。保護者がコーチや審判を務め、遠征の配車を組み、指導者の食事を用意する。様々な雑務をこなすことに「悩んでいた母親が(チーム内に)いましたし、私自身も負担と感じていました」と当時を振り返る。
毎週末に練習&試合。時には指導者の怒声も聞こえてきた。選手のモチベーションも上がらない。複数のチームを渡り歩いたが大差なく、「野球を楽しめるチームを立ち上げたい」という気持ちが湧き上がってきたという。
そんな時に目に留まったのが、2021年に発足した少年野球チーム「練馬アークス・ジュニア・ベースボールクラブ」の取り組みだった。怒声罵声とは無縁で子どもにも保護者にも“負担”を強いない運営に共感し、アドバイスを受けてチーム発足へこぎつけた。
方針は6つ。「野球を楽しむ」「罵声や高圧的な指導を一切禁止」「練習は週1回の4時間以内」「子供たちの自主性を大切に」「脱・勝利至上主義」「父母会なし(設立不可) 保護者の業務負担はゼロ」を掲げる。監督は玉井さんの夫である遼平さんが務め、JSBB公認学童コーチなど、資格を有した指導者が脇を固める。かつて独立リーグでプレーしたコーチもいる。
創設1年目で「ベストコーチングアワード」“2つ星”を受賞

チームは今年3月にスタートした学童野球の新リーグ戦組織「INFINITY BASEBALL LEAGUE U-12(インフィニティ・ベースボール・リーグU-12)」(IBL)に所属する。「浦和Lovers Jr.」や「練馬アークスJr.」など、同様の理念を持つチームが独自のルールを設けて試合を実施。加盟チームは増え続けている。
「指導者から子どもたちに『勝とう』と言った声掛けはしません。その中で子どもたちに勝ちたいという意識が芽生え、『今日は勝つ』と言った声も出てきました」と玉井さんは語る。
こうした取り組みが評価され、チームは昨年、「ベストコーチングアワード」で“2つ星”を受賞した。全国の学童・中学生チームを対象に怪我や障害予防を考えた練習方法や教育を実施しているチームをスポーツメディカルコンプライアンス協会が表彰するもので、結成1年目での快挙となった。
玉井さんは小学5年の長男、小学3年の次男、小学1年の長女、2歳の次女の母。上の3人が「浦和Lovers Jr.」に所属し、白球を追いかける。かつては練習前日にため息をついていた子どもも「今は練習日が楽しみなようです。自主練もするようになりました」と目を細める。
現在の部員は小1から小6までの15人。今後はひとまず25人まで拡大させる予定だ。子どもに野球をやらせたくても、当番などが負担になって入部をためらう保護者が少なくないことも実感している玉井さんは「そういうご家庭の受け皿になれれば」と力を込めた。
【浦和Lovers Jr.の練習内容とは?】
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