元・巨人、侍ジャパンスコアラー三井康浩氏が語る「自宅などで1人でできる練習法」
私は長い間、プロ野球の世界でスコアラーを務め、野球を分析してきました。そして、昨年10月から、子供の少年野球を指導しています。約30年、プロの世界に携わり、子供たちに正しい技術を身に着けてほしいなと願いながら野球を教えています。それが日本の野球界のレベルアップにつながるからです。
子供に「やれ!」と頭ごなしに言っても、なかなか言うことは聞いてくれません。私も格闘の日々です。簡単にできることから、家族でコミニュケーションをとりながら、取り入れることができる練習方法から、まずお教えしたいと思います。
○ポイント1 スローイングの練習
子供にとって一番の課題はスローイングだと思います。投手も野手も暴投、悪送球が多いです。投手だったら四球で走者を貯めてしまいますし、野手も無駄な悪送球で進塁を許してしまうことが多いです。それが失点につながってしまう。
一番の原因はリリースポイントをつかめないことです。子供にそれを言葉で説明してもわかりません。なので、一番簡単なのは、自宅や室内、どこでもいいので、仰向けに寝転がって、ボールを天井に向かって投げる動作をを繰り返させてください。顔の前でキャッチできるでしょうか?
最初は自分の意図したようにボールが返ってきません。頭上にいったり、足元にいったりします。ボールも回転はしません。それはなぜか。
投げる感覚というのは、ひじと手首と指先、この順番に使って投げることでボールに回転が与えられ、同じ軌道で安定してボールが投げられるのです。最初はひじだけ、手首だけだったりの投げ方になり、指先を使うイメージが子供にはありません。3つすべて使い、意識させて投げさせてみてください。時間があったら、これはどんどんやった方がいい練習です。
工夫すれば野球場でも、室内でもできる練習
○ポイント2 シャドーピッチング
子供には目標にしている、または好きなプロの投手がいると思います。そのフォームをイメージしながら、タオルを使ったシャドーピッチングをすることをお勧めします。部屋のカーテンを開け、ガラス窓に映った自分を見ながら、投球フォームを作ってみてください。タオルを持ち、腕を振ることで肩への負担がかかりますのでやりすぎには注意が必要です。30分くらい、汗がほんのりと出てきたくらいがいいのではないでしょうか。そのピッチャーになったつもりでやってみてください。
大事なことは、どこの場所をマネしたいのか自分で考えることです。足の上げ方なのか、向かっていく姿勢なのか、そこを見て練習をしてください。イメージ通りに体のパーツが動いているかどうかが大事です。シャドーはフォームを固めることにつながりますが、そもそものフォームが正しいのか?と言われてしまうと、私も見ないとわかりませんので、そこだけはまずお父さんやコーチらが見て判断するため、たまに子供を見てあげてください。
○ポイント3 筋力を付ける
故障予防の意味もありますが、外側の筋肉ではなく、まずは体の中の筋肉(インナーマッスル)をつけてさせてください。これはゴムチューブを使ってできるエクササイズです。ドアの取っ手にゴムをつけて引っ張る。肘の位置を固定して、左右に動かす動きを1日10回×3セット。ひじだけでなく、肩でも引っ張って、行ってください(解説動画参照)。このとき、大事なのは、中の筋肉をイメージしながらやることです。人の体は左右対称になってます。左右両方の腕で強化をしてください。片方の手だけではいけません。
上記のことは工夫すれば野球場でも、室内でもできる練習です。まずは子供に無理なく、けがなく、楽しく簡単にできる練習から始めてみてください。参考にしてみてはいかがでしょうか。
プロフィール
三井康浩(みつい・やすひろ)1961年1月19日、島根県出身。出雲西高から78年ドラフト外で巨人に入団。85年に引退。86年に巨人2軍サブマネジャーを務め、87年にスコアラーに転身。02年にチーフスコアラー。08年から査定を担当。その後、編成統括ディレクターとしてスカウティングや外国人獲得なども行った。2009年にはWBC日本代表のスコアラーも務めた。松井秀喜氏、高橋由伸氏、二岡智宏氏、阿部慎之助選手らからの信頼も厚い。現在は野球解説者をしながら、少年野球の指導、講演なども行っている。
【解説動画】パパコーチ必見! 名スコアラーが教える自宅で一人でできる少年野球練習法とは?
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