靱帯損傷、肘曲がらず「ボロボロ」 野球断念→敏腕トレーナー生んだ“無念の経験”

更新日:2024.11.27

文:高橋幸司 / Koji Takahashi

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オリックス・山岡ら30人以上のプロ選手を指導する高島誠トレーナー

 冬場の練習といえば、「走り込み」「振り込み」「投げ込み」などのように量をこなす“鍛錬”のイメージが強い。しかし、それがきちんと成果として結びついておらず、単に「頑張った」だけでは意味はない。First-Pitchでは少年野球の現場を知る“凄腕コーチ”に取材。30人以上のプロ野球選手を指導してきたトレーナーの高島誠氏は、「きちんと成果を数値化して、客観的に判断することが大事」と語る。

 広島県東広島市内で「Mac’s Trainer Room」を経営する高島氏は、これまでオリックス・山岡泰輔投手らプロ野球に進んだ多くの選手を指導してきた。2階建て計160坪の広々としてスペースには、トレーニング機器はもちろん、投球成分や打球速度を計測する「ラプソード」などの分析機器や、フォーム改善に使うさまざまな手作り器具、さらにはサウナ施設まで運営され、まさに高島氏の“探究心”が詰め込まれている。

 原点は「手首がボロボロになった」という高校時代にあるという。

「野球の練習は基本的に『右足と右手』が使いやすい人たちのプログラム。でも、実際の僕は、右投げ右打ちでも『左』の方が使いやすいタイプで、高校での指導が全くフィットしていなかったんです。でも、当時は情報の少ない時代でしたし、それがわかっていませんでした」

 真面目にバットを振れば振るほど、体がスムーズに動かなくなり故障につながる悪循環。手首の靱帯を損傷し、肘も曲がらなくなり、野球を断念せざるを得なくなった。そうした無念の経験から体の勉強をしようと、鍼灸・あん摩マッサージ指圧師の資格を取り、オリックスのトレーナーを4年間、MLBナショナルズのトレーナーを3年間(2年間はインターンシップ)務め、帰国後に施設を開業した。

 元々は治療を主にスタートしたが、コンディショニングやパフォーマンスアップにも目を向け、「右足・左足」「右手・左手」「腹筋・背筋」でどちらが動かしやすいかによって選手を8タイプに分類する「パフォーマンスライン」を提唱。「左右差」も含めた個々の特性に合った指導で、小・中学生の育成年代からプロ選手まで多くの支持を得ている。

指導者も“頑張った”ではなく「数字で評価してあげて」

 自身の苦い経験があるからこそ、「振り込み」「投げ込み」などをするにしても、成果に結びついているかを定期的に測定し、「数値化して客観視することが大事」だと高島氏は語る。

 量をこなしたところで、パフォーマンスが向上していなければ時間の無駄だし、それこそ故障につながりかねない。逆に、数値化によって課題を見出せれば、より短い時間で効率よく能力を伸ばすことにもつながる。

「本来、短時間で結果を残す方が“根性”がいるんです。仕事でも、ホワイト企業は『定時までに帰りなさい、でも売り上げは残しなさい』でしょう。そういう意味だと、小・中学校で(長時間練習の)“ブラック寄り”の指導を受けてきた子は、そっちの方が楽という子もいるのです。でも、単に『頑張った、頑張らなかった』だけでは、成果は残せません」

 特にアマチュア選手は感覚的な部分が十分に育っていないため、「良い・悪いの判断も“なんとなく”になってしまう」と高島氏。日本でいち早くラプソードを導入したのも、感覚的な部分を数値化して示すためであり、広い施設を建てたのも、投手が18.44メートルの距離を使って、室内でもより実戦的に計測ができるようにするためだという。

「冬の“鍛錬”はやってもいいとは思いますが、成果が上がっているのかはきちんとチェックをしてほしい。頑張る、頑張らないではなく、数字が上がるか、上がらないか。指導者も見た目の努力だけでなく、数字によって評価をしてあげてほしい。選手としてもアピール材料が増えることは良いことですから」

 そう語る高島氏は、これからも、様々な“引き出し”を用いて、選手個々の特性に合った指導を行っていく。

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