少年野球でミスを誘発…指導者が“よく使う言葉” 元プロがワンバン送球を徹底する理由

更新日:2025.12.03

文:喜岡桜 / Sakura Kioka

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“日本一の手袋産地”の小学生向け野球教室で元西武・松坂健太氏が指導

 スポーツを楽しむ子どもたちへ、元プロ野球選手と体を動かしながら学ぶ機会を創出することや、道具を大切にするきっかけとなることなどを目指す、「てぶくろの町 軟式野球教室 Supported by Kasco」が11月22日、香川・東かがわ市の引田野球場で初めて開催された。西武や日本ハムで2004年から8年間プレーし、現在は同県在住の松坂健太さんが講師役を務め、約40人の小学生にスローイングのコツなどを伝授した。

 明治後期からファッション用、アスリート用、消防のような特殊作業用などの手袋が作られている東かがわ市。事前に資料館を訪問した松坂さんは、同市内でバッティンググラブが製造されていることに「全く知りませんでした」と目を丸くした。一方で、野球教室の参加者の中には、同産業に従事する保護者を持つ子も多く、大きく頷きながら主催者の話を聞く選手もいた。

「手袋や、野球をするための道具を今日はいつもより大切に扱いましょう」。そう呼びかけられて始まった野球教室は、松坂さんが第一に、動きを言語化するようにアドバイスし、小学生たちはキャッチボールや守備練習を「右、左、狙って、スロー(投げる)」と大きな声を出しながら、ゆっくりと丁寧にこなした。

 内野ノックでは、一塁へノーバウンドで投げられる選手にもワンバウンド送球を徹底させた。松坂さんはその理由を「力がある子も、無理をして(送球を)届かせているように見えました。あえてワンバウンドで速い球を投げることで、送球が楽になりますし、逆にボールが届かない子は硬くなって山なりのボールを投げ続けることもなくなります。怪我を防ぐという点でも有効だと思います」と語る。

ノックで重視した“ゆっくり”…子どものエラーを増やす「はよ」の意識

小学生の前でスイングを披露した松坂氏【写真:喜岡桜】

 現在、香川県内で会社員として働きながら、高松市内で月に数回、小・中学生を指導したり、同県内の放送局で高校野球の解説も務めたりしている松坂さん。特に少年野球の試合を見ていると、打者走者がまだ一塁ベースに到達しそうにないのに、野手が慌てて送球しアウトを取ろうとする場面をよく見かけるという。

「それでもアウトが取れたならナイスプレー」と褒めた上で、「でも余裕があるんだから焦る必要ないと思う」と首をかしげる。小学生のうちは無理をせず「ワンバウンドになっても良いと思うんです」と説明する。

 捕球についても然り。「早くボールに駆け寄ることで、打球を弾いてしまっても早めに拾いに行けるという考え方もあるので、否定はしません。だけど、指導者さんがよく言う『捕ったら、はよ(早く)投げろ』は、子どもを焦らせて、失敗の確率が増えてしまうと思うんです。ゆっくりボールに駆け寄って、(エラーせずに)捕る確率を上げて、ステップを確実に踏めればアウトは取れるんですから」。

 松坂さんの指導では、動作がいつもより「ゆっくりだった」と感じる選手が多かったが、その分、正確な捕球と投球ができていた。野球教室の最後には、2024年に同県代表として出場した軟式野球の天皇賜杯でホームランを放ったスイングを披露。ミスショットなく1球目から軟式球をスタンドインさせ、子どもたちの目を一段と輝かせていた。

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