6試合34得点…小柄でも“別格スイング”が生まれる理由 史上最多・V8学童が取り組む猛練習

文:橋本健吾 / Kengo Hashimoto

XFacebookLineHatena

マクドナルド・トーナメントで史上最多8度目の優勝…大阪の長曽根ストロング

 身長、体重などの体格差がアドバンテージになりやすい学童野球で、常に結果を残すチームが存在する。“小学生の甲子園”「高円宮賜杯 第45回全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメント」で史上最多となる8度目の全国制覇を果たした長曽根ストロングス(大阪)。常勝チームを作る秘訣はどこにあるのか? First-Pitchでは小学・中学世代で全国制覇を成し遂げた指導者を取材。熊田耐樹総監督に育成論を聞いた。

 ターニングポイントは3回戦の強豪・不動パイレーツ戦(東京)だった。3点ビハインドの4回に一挙4点を奪い逆転勝ち。土壇場での勝負強さを発揮するとチームは一気に勢いづいた。準々決勝の牛島野球スポーツ少年団(秋田)戦では、同点に追いつかれた直後の6回(最終回)に2点を奪い勝ち越し。準決勝の旭スポーツ少年団戦(新潟)は2点を追う6回に3点を奪いサヨナラ勝ち。決勝は伊勢田ファイターズ(京都)の好左腕・藤本理暉くん(6年)を序盤で打ち崩し8-4で勝利した。

 どんな状況でも諦めない。子どもたちが見せた“心の強さ”に熊田総監督は「今年は正直、大阪を勝つのもどうかな? という感じだった。それが、試合を重ねるごとに強くなっていった。子どもたちが全国に連れて行ってくれた。不思議なもんですよ。ただ、1つ言えるのは子どもたちが日々、一生懸命だったことですね」と、選手たちの取り組みを称える。

 全国の大舞台で6試合34得点、1試合平均5得点以上の強力打線はどこから生まれるのか。長曽根は週2日の平日練習を大阪・松原市民運動広場で行っている。2面ほど取れる広いグラウンドでは、片方でマシン7台を使い徹底した打撃練習を行う。選手たちは重さ1キロのトレーニングバット、長尺バット、大人用の複合バットの3種類を使い、1日約200球を打つこともあるという。

チームを指揮する熊田総監督「技術や理論も大事ですが、やはり数をやらないと振る力はついてこない」

長曽根ストロングス・熊田耐樹総監督【写真:小池義弘】

 マクドナルド・トーナメントでも他のチームに比べ小柄な選手が多い印象だったが、スイングの鋭さは別格だった。熊田総監督も「技術や理論も大事ですが、やはり数をやらないと振る力はついてこない。黙々とバットを振ることは簡単なようで難しい。あれだけ振るには力も気持ちも必要」と、心技体を鍛える必要性を口にする。

 打撃だけでなく、グラウンドの反対側では実戦を想定した守備練習を行う。ノッカーは複合バットの打球スピードを意識し、際どいコースを狙っていく。選手たちも守備範囲ギリギリの打球に臆することなく飛びつき、球際の強さを身につけている。

 チーム練習に関しては熊田総監督も「そこまで特別なことはしていません」と口にする。打つ、投げる、走る、守る――。当たり前のことを当たり前にやる。全国大会や試合で結果を残すためには、積み重ねた練習での「自信」と、根気強く取り組むことで生まれる「強い心」だという。

「確かに昭和、平成、令和と流れていき野球も変わらないといけない。でも、その中で変わらないものもあると思う。最近は努力や根性が馬鹿にされる時代になってきた。でも、私は子どもはやっぱり努力したらその分、成長すると思う。下手だった子が普通に、普通な子がちょっと上手くなるぐらいにはなるんですよ」

 努力は時に嘘をつくかもしれない。だが、努力しなければチャンスは巡ってこない。熊田総監督は10月末開催の「日本一の指導者サミット」に出演予定。小学生球児に今必要なこと、保護者との接し方などを語ってくれる。

【実際の動画】マシン7台をグラウンドに並べて壮観 最多8度の日本一、長曽根ストロングスの打撃練習

全日本学童で史上最多8度目のV…長曽根ストロングスの指導・練習法を紹介!

 Full-Count、First-Pitchと野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」では、10月27日から5夜連続でオンラインイベント「日本一の指導者サミット2025」を開催します。小学生・中学生の各野球カテゴリーで全国優勝経験がある全11チームの少年野球監督を招き、日本一に至るまでの指導方針や独自の練習方法について紹介していきます。参加費は無料。登場予定チームなどの詳細は以下のページまで。

【日本一の指導者サミット2025・詳細】

【参加はTURNING POINTの無料登録から】

https://id.creative2.co.jp/entry

トレンドワード