
野球スクールを運営する生島峰至氏…西谷浩一監督の教えで高校通算33本塁打
打撃におけるミートポイントは前がいいのか、それとも後ろまで引きつけるのが正解か……。指導者や選手によって、十人十色の考え方があるだろうが、そこに飛躍的成長のきっかけがあるかもしれない。First-Pitchでは、バッティング指導で豊富な実績を持つコーチやトレーナーを取材。現在大阪、奈良、愛知、三重の4府県を拠点とする「BT野球スクール」の運営に携わる生島峰至(たかし)さんは、大阪桐蔭高時代にポイントの意識を前から後ろに変更することで、自分でも驚くべき成果を残したという。
大阪桐蔭には全国から選りすぐりの猛者が集う。1年夏からチームの主力として活躍していた同期の中田翔(現中日)と対照的に、自身は思うような結果を残せずにいた。
「僕は同じ左打者のイチロー選手に憧れていて、打ち方を真似したり、引っ張って右方向に打球を飛ばしたりしていました。ただ、中学(郡山リトルシニア)では全然ボールが飛ばないなと感じることも多く、高校に入ってもしっくり来ない時期がありました」
それまでの生島さんは、ミートポイントを前にして引っ張る打球が一番飛ぶと思い込んでいたという。スイングスピードとは比例しない打球の飛距離のなさに何度も首をかしげていたところ、西谷浩一監督からのアドバイスで、見える景色が一気に開けてきた。
「ずっとスローボール打ちをさせられて、ボールを後ろまで引きつけて打つことを徹底させられました。僕は前でボールをさばきたいタイプでしたが、それだと左投手の時に(手首を)こねたり引っかけたりしてしまい、結果が出ないことが多くありました。西谷先生からは、『お前はもっと自分のスイングスピードに自信を持て』と言われ続けてきました」
スローボール打ちでは、目線や体の角度を変えずに打つことも口酸っぱく指導された。速い球が来るという意識で待つことでしっかりと準備ができ、フォームを崩されることなく、あらゆるコースをセンターへと弾き返すことが可能となった。そして結果的に高校通算33本塁打を放つなど、強打の外野手に成長した。
「自分がやっていた打撃のスタイルは全然違うんだということに気づかされました。しっかりミートを心がけ、センターから逆方向中心の打球を意識した結果、どんどん本塁打が増えていったなという感じです。今になって、西谷先生の言ってくれたことに意味がすごく分かるようになりました」
子どもの“フルスイング偏重主義”に危機感「監督が求めるものに気づいて」

近年はスクールで小・中学生を指導する傍ら、中田の自主トレにも帯同。そのすご味を再確認するとともに、培ってきた打撃論の「答え合わせができた」という。
「翔のような打者でも、まずはしっかりとバットに当てる練習をします。当たりさえすれば、打球はスタンドに入っちゃうんですよ(笑)。ミートポイントも本当に近くて、打撃フォームの連続写真を見たら、絶対に肘は曲がっています。差し込まれたと思っても、それを度外視するくらいのスイングスピードがあるんですよね」
その上で、近年の子どもたちが本塁打狙いのフルスイング偏重主義に陥っていることに警鐘を鳴らす。
「体の小さな子でも、みんなボールを遠くに飛ばす練習をやっているなと印象があります。僕は、ずっとそれはどうなのかなと感じていて、早く自分のスタイルや、監督が求めるものに気づいて、それを貫ける選手になってほしいです」
生島さんは名門チームで磨かれ、自身でも追求し続けてきた最新の打撃論を伝え続ける。
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