球速・飛距離向上に必須も「上手い選手が少ない」 中学強豪が重視する“動作の起点”

文:First-Pitch編集部

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中学硬式「関メディベースボール学院」が重視…足裏で地面を掴む感覚と動作づくり

 パフォーマンスアップのカギは「足の裏」にある。中学硬式の強豪、兵庫「関メディベースボール学院ポニー」(以下、関メディ)の井戸伸年総監督(元近鉄、オリックス)が29日、野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」が開催したオンラインイベント「日本一の指導者サミット2025」に出演した。素足でティー打撃やノックをするなど、足裏の感覚を磨いて選手の能力を向上させているという。

 関メディでは勝利と育成の両立を掲げ、実際に結果を残している。その原動力となっているのが、技術の土台となる「動作づくり」。部員180人に対して、10人以上のトレーナーがメニューを組み立てて指導する。平日は3時間の練習で、バットやボールを使わない動作づくりに1時間を費やす。チームを率いる井戸総監督が意図を説明する。

「野球に必要な動作づくりをしてから、技術練習に入る習慣をつくっています。重点を置くのは胸郭、肩甲骨回り、股関節です。例えば、打撃であれば胸郭が動かないと“割れ”ができません。ポイントになる体の動きはチーム全体で取り組み、個々の選手が自分の状態を把握することが大切だと考えています」

 柔軟性や筋力が不十分な選手は、費やす時間に見合った技術の習得を見込めなくなる。だからこそ、関メディでは体の動かし方を身に付け、メニューの目的をトレーナーから学ぶ機会を大切にしている。中でも、井戸総監督が重要視している部位の1つが「足の裏」だ。

「地面を蹴り上げる動作が上手い選手は少なくなっています。練習場所は人工芝ですが、選手はティー打撃で靴を履きません。ウオーミングアップも素足で、時にはノックも素足です。足の裏は体の根元なので、グリップ力を大事にしています。今のスパイクに刃が多いのは、それだけ地面を捉えることが重要だからです。スパイクの中で指が浮いてしまい、足の裏や指で地面を掴めないと力がバットやボールに伝わりません」

地面を上手く蹴ることができると自然と球速・飛距離が出る

技術練習前に時間をかけて動作づくりを行う【写真:編集部】

 イベントに出演した野球塾「Perfect Pitch and Swing」の代表を務める長坂秀樹氏も、動作づくりを重要視している。1時間の投球指導では最後の15分ほどしかボールを使わないこともあり、足裏の強化に特化したメニューも取り入れているという。長坂氏は「足は地面に唯一、接している場所。足裏や足首が弱いと、地面を押し切れません。地面を上手く蹴ることができると自然と球速が出ますし、打球も飛びます。足の指で地面を掴む感覚が大事です」と語った。

 井戸総監督とともに講師を務めた高崎中央ポニーの倉俣徹監督も、体の操作性や運動能力を高める指導に共感した。VTRで流された関メディの練習風景に「トレーナーの方々の能力の高さ、知識やスキルを吸収しようとする選手たちの意識の高さに感心しました。野球が上手くなるだけではなく、どんなスポーツにも通じる運動能力を高めるメニューです。私も足の裏、特に母指球で体重をコントロールする意識を選手に伝えているので、共通している部分があります」と話した。

 バットやボールを使った練習に目を向けがちだが、その土台となる動作づくりを疎かにすれば成長スピードは遅くなる。31日まで開催される「日本一の指導者サミット2025」では、強豪チームの指導法や練習法を次々と紹介する。

「日本一の指導者サミット2025」10月31日(金)まで開催中…見逃し配信もあり

 Full-Count、First-Pitchと野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」では、10月27日から5夜連続でオンラインイベント「日本一の指導者サミット2025」を開催中。

 小学生・中学生の各野球カテゴリーで全国優勝経験がある全11チームの監督を招き、日本一に至るまでの指導方針や独自の練習方法について紹介しています。参加費は無料。見逃し配信もあり。登場チームなどの詳細は以下のページまで。

【日本一の指導者サミット2025・詳細】

【参加はTURNING POINTの無料登録から】

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