“競争改革”2年で初全国→準Vの大躍進 「無名のチーム」が学童日本一に勝てた理由

兵庫・二見フレンズジュニアは「高野山旗全国学童軟式野球大会」に初出場で準優勝
子どもたちに競争心が芽生え、初の大舞台で快進撃を演じた。兵庫・明石市を拠点とする学童野球チーム「二見フレンズジュニア」は、8月に行われた「第30回高野山旗全国学童軟式野球大会」で準優勝を果たした。全国大会の出場がなかったチームを鍛え上げたのが、2年前から指揮を執る井上裕司監督。わずか2年で躍進を遂げた背景に迫った。
二見フレンズジュニアは、現代表の河井孝紀氏が「子どもが大好きで、中学野球まで慣れるために」と2004年に設立した地元密着のチーム。これまでローカル大会の優勝はあったものの、全国舞台は未経験。井上監督も「全国的にみれば無名なチームです」と口にするほどだった。
そこで、井上監督は河井代表の意志を引き継いだ上で「チームが強くなるのは競争心」と、徐々に“チーム改革”を進めた。コーチを含め指導者には“野球未経験者”ではなく、強豪校や社会人野球でプレーした人材を揃えた。低学年には技術ではなく野球の楽しさを感じてもらい、高学年には技術だけでなく「走攻守」で量もこなし鍛え上げた。
試合では複合バットを使用するが、練習では金属か木製に限定。学童野球によくある“体格で勝負”ではなく、上のカテゴリーで通用する技術習得に力を注ぐ。軟式球よりも重い硬式球を打たせることもあるという。「少年野球は始まりで通過点。中学高校でも対応できる子を育てていきたい。ここが最終ではありません」と語る。
「低学年は基礎からスタートして野球ができるようになれば。5、6年生は競争です。試合に出るレギュラーは9人ですが、野球は9人でやるわけではない。子どもたちは試合に出たい。なら、ポジションを競い合っていく気持ちが大事だと思います。子どもたちは無限の可能性があって、どこで開花するかは分かりません」
全国大会決勝で大敗した強敵にリベンジ…「野球は絶対がないスポーツ」

技術と量をこなした今年のチームは「兵庫県学童軟式野球大会」で優勝を果たすなど絶好調。高野山大会の出場権をかけた兵庫予選も優勝し、念願の全国大会初出場を決めた。本大会でも初戦で飽田リングス(熊本)に10-3、2回戦は相生クラブ(徳島)に18-0、3回戦は浪速ナカマーズ(大阪)に14-8で快勝。準決勝では旗の台クラブ(東京)に5-4で競り勝ち決勝戦に駒を進めた。
決勝の相手は“小学生の甲子園”「マクドナルド・トーナメント」で最多8度の優勝を誇る強豪・長曽根ストロングス(大阪)。チームは自信を持って挑んだが、それまでの戦いが嘘のように4-24の大敗を喫した。井上監督も「本当に野球がうまいチーム。決勝はコールドがなかったのですが……。新チームで初めてコールド、大差で負けました」と振り返る。
だが、すぐに“リベンジ”の機会がやってきた。1か月後に行われた「バファローズカップ・決勝トーナメント」準々決勝で、再び長曽根ストロングスと対戦。井上監督が「野球は絶対がないスポーツ。子どもたちも自信を持っていた」と語るように7-3で快勝し、雪辱を果たした。
改革は実を結び、“無名のチーム”が全国でも通用する集団に変貌した。昨今の学童野球は転換期を迎えているが、「怒るではなく叱ることは大事。褒める時は褒めて、叱ることも。自分の子どもと思ってやっています。親にも怒られたことがない子どもはたくさんいます。野球で成功する人は一握りです。だからこそ、社会に出て通用する人間を育てたい」。地域に愛され、強くたくましいチームを育てる井上監督の挑戦は始まったばかりだ。
少年野球の現場を熟知するコーチが参加…無料登録で指導・育成動画250本以上が見放題
野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」(ターニングポイント)では、無料登録だけでも250本以上の指導・育成動画が見放題。First-Pitchと連動し、小・中学生の育成年代を熟知する指導者や、元プロ野球選手、トップ選手を育成した指導者が、最先端の理論などをもとにした、合理的かつ確実に上達する独自の練習法・考え方を紹介しています。
■専門家70人以上が参戦「TURNING POINT」とは?
■TURNING POINTへの無料登録はこちら




