
2006年夏の甲子園で優勝…早実の主将・後藤貴司氏が語る送球の基本
野球の守備において基本であるスローイング。強くて正確な送球はレギュラー奪取に不可欠だが、中学生までに習得できていない選手が多い傾向にある。2006年夏の甲子園で優勝した早実(西東京)で主将を務め、現在、少年野球の指導にも関わっている後藤貴司氏は「高校入学前にスローイングを完璧にしておくことは大前提です」と力を込める。
「本来は小学生のうちにやっておくべきことです。少なくとも中学生のうちには、ある程度固めておかないといけません。高校に入った後に、スローイングが確立できていない選手は結構多いんです。ノックや実戦で、上体がキャッチボールと同じ動きができなくて、苦しむことになります」
上半身の動きで注目するのは両肩。送球の際、トップの位置では右利きの選手は左肩が送球方向を向き、右肩は水平に真後ろにくる。そこから体を回転させてリリースの瞬間に両肩は水平のままで、送球方向と正対するのが理想の形である。
「目標に対して肩のラインを90度にする。それって誰でも当たり前だと思うじゃないですか。でも、高校生でもできていない選手が結構いるんですよ。体が開いてしまったり、一方の肩が下がったりしている。そうなると、悪送球につながる可能性がかなり高くなります」
キャッチボールは「実験」「遊びながら道具を扱う感覚を養う」

ステップする足も目標に真っすぐ踏み出す必要がある。習得するにはキャッチボールから強く意識すること。「投球練習が一番いい」という後藤氏は「短い距離で投げたり、逆に長めの塁間の距離で投球してみる。テークバックを大きくしたり、野手のように小さくしたり、いろんなパターンを試していくと感覚をつかめるようになると思います」と提案した。
自身は小中学生時代「壁が相手でした」と振り返る。「“壁当て”ができる環境だったので、目標に向かってどう投げるか考えながら練習していました。近くから投げたり、遠くから投げたりして感覚をつかみました。守備の練習にもなるから、壁当ては一番いい練習かなと思います」。跳ね返りを捕球するのも、さまざまなゴロの変化があって守備の上達につながるのである。
近年は練習場が限られ、壁当てができない選手も多いだろう。その場合はキャッチボールで工夫するしかない。「コントロールは指先の感覚が重要です。上から投げたり、ちょっと横から投げたりしながら、ちゃんと相手の胸にコントロールします」。ランニングスローを織り交ぜたり、球の握り方をあえて変えることもあるという。
「キャッチボールは実験のような感覚でやるといいと思います。どんな力感だとボールに力が伝わるのか、失速するのか、試しながら投げるんです。必ずしも硬式球じゃなくていい。軟式でも、軽いカラーボールでもいい。遊びながら道具を扱う感覚を養って自分のイメージに近づけていく実験だと思います」。漠然と投げるのではなく、常に意識しながら練習する。時には遊び感覚も必要。試行錯誤しながら、引き出しを増やしていくのである。
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