キャッチボールが疎かで「守備が上手い子はいない」 逸材集うジュニア入りへの“重要関門”

福岡ソフトバンクホークスジュニア・嘉弥真新也監督が選考で重要視した野球の基本
逸材小学生が目指す“狭き門”を突破するには、基本に忠実なことが絶対条件だ。12月26日〜29日に神宮と横浜スタジアムで開催される「NPBジュニアトーナメント KONAMI CUP 2025」に向けて、連覇を期す「福岡ソフトバンクホークスジュニア」を率いるのは新任の嘉弥真新也監督。初体験のセレクションで最も重視したのは「キャッチボールがしっかりできているか」だったという。選考の意図と、大会に向けた意気込みを語ってもらった。
ホークスジュニアは11月上旬に関東遠征を実施し、茨城・東葛飾ボーイズグラウンドで楽天、巨人、ロッテ、西武、ヤクルト、DeNAの各ジュニアチームと3日間にわたって練習試合を行った。
初めて東日本勢を相手に采配を振るった嘉弥真監督は、「スイングスピードも球速も速いし、こんなにレベルが高いのかと感動すら覚えました」と語る。本番の予選リーグ初戦で当たるDeNAジュニアとの一戦は、初回から積極果敢にスイングする相手に苦戦し5-6で黒星。「最初から最終回の気持ちで戦わないと、(6回制の)試合はあっという間に終わってしまう。子どもたちにもっと意識を持たせないと」とリベンジに心を燃やした。
もちろん、3500人超の応募者から選び抜いたホークスジュニアも素材では引けをとらない。最速124キロを投じる萩原蒼大(そうた)、強肩強打の正捕手・石光奏都(かなと)、指揮官と同郷の沖縄、久米島出身のキャプテン・宮城大心、走攻守3拍子揃った石井爽介、長打力No.1のムードメーカー・信樂隼大朗(しがらき・しゅんたろう)……。「イチオシの選手はたくさん。全員に期待しています」と言う通り、守備・走塁から主導権を握る“らしさ”を体現できる逸材が揃っている。
中継ぎ一筋13年間、プロ通算472試合を戦ってきた嘉弥真監督だけに、投手陣に向ける視線は特に熱い。遠征中も、死球を与えた投手にイニング間にアドバイスを送る様子があったが、「気持ちの切り替え方、ピンチの時の心構えなど、小学生はまだメンタルが弱い部分がある。恥ずかしがり屋の子が多いので、どう克服するかは考えています」。プロで培ったエッセンスを惜しみなく伝えながら、自身も指導者としての成長を目指している。
来春発足の中学チーム監督も兼任「将来的にホークスに入ってくれれば」

ホークスジュニアは6月〜8月にかけて4段階の選考を実施し、まず20人、さらに活動開始後に現在の16人へと絞り込んだ。「悩みに悩んだ」という初体験のセレクションで、嘉弥真監督が“第一関門”としたのが「キャッチボール」だったと振り返る。
「キャッチボールが上手な子を優先的に選びました。逆に言えば、疎かにしている子は基本的にとりませんでした。キャッチボールは捕り方・投げ方の基本であり、全てが詰まっている。長い間野球をやってきた僕ら(指導陣)には、良し悪しは一目でわかりますから」
ホークスジュニアは何より守備力を重視するが、「キャッチボールが下手なのに、守備が上手い子はいません」と断言。しっかり胸に投げられているか、足を使って捕っているか、グラブ捌きが上手か、捕球から送球への切り返し動作ができているか……。
今後、ジュニア入りを目指す5年生以下の親子に向けても、「いくらバッティングが良くても、キャッチボールを肩慣らし程度にやっている子には“バツ”をつけざるを得ない。その次の選考には進めないので、しっかり身につけてほしいです」とアドバイスを送ってくれた。
嘉弥真監督は来春発足する中学硬式野球チーム「福岡ソフトバンクホークスジュニアユース」(登録名:福岡玄界灘ボーイズ)の監督も兼任する。小学生のジュニアも含め、「プロの世界と触れ合った子たちが、『自分もプロに行きたい』という気持ちを持って、将来的にホークスに入ってくれれば教える身としても嬉しい」。高校野球以降のレベルに進んでも恥ずかしくない技術・メンタルの土台を、しっかりと伝えていきたいと語る。
もちろん、その前にはNPBトーナメント連続Vという大きな目標がある。「連覇したチームは少ないですし、ガチガチに狙っていきます。本番が楽しみです」。巨人(3連覇)、ヤクルトに続く3球団目の偉業で、大会の歴史に名を刻む意気込みだ。
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