
運動神経=遺伝ではない…小学生までに引き出したい野球センス
少年野球で「センスがある」と評される選手には、共通する能力がある。それは状況に応じて考え、適切に体を動かす力だ。この能力は決して遺伝的なものではなく、「プレ・ゴールデンエイジ」(4〜8歳ごろ)「ゴールデンエイジ」(9〜12歳ごろ)と呼ばれる時期の過ごし方で、誰でも大きく伸ばすことができる。野球上達につながる神経系を発達させるトレーニングについて、専門家の見解をまとめてみた。
・運動神経が最も発達する「ゴールデンエイジ」とは何か。
・なぜ「鬼ごっこ」のような遊びが野球のセンスを伸ばすのか。
・指導者や保護者が子どもの神経系発達をどうサポートすべきか。
元楽天投手でキッズコーディネーショントレーナーの土屋朋弘さんは、自分のイメージ通りに体を動かす「コーディネーション能力」の重要性を指摘する。特に幼少期の「プレ・ゴールデンエイジ」は神経系が最も発達する時期で、ここでのトレーニングが将来の運動能力や健康寿命にも影響を与えるという。現代の子どもは外遊びの減少により、地面を捉えるために重要な「母指球」を使う感覚や股関節に体重を乗せる動きが苦手な傾向があるといい、土屋さんは、母指球を意識した連続ジャンプなど、日常的に親子で継続できる簡単なトレーニングから始めることを推奨している。
中学硬式野球の強豪「関メディベースボール学院」でトレーナーを務める藤田真悟さんもまた、中学生を指導する立場から、小学生までの「ゴールデンエイジ」を逃すべきではないと指摘する。近年の野球界は競技レベルが向上する一方、選手間の能力差が広がる傾向があり、その差を埋める鍵が幼少期の過ごし方にあるという。チームではウオーミングアップでリズム運動を取り入れたり、座った状態からのダッシュや、室内では裸足で打撃練習を行うなど、「ポスト・ゴールデンエイジ」の選手たちにも神経系に働きかけて成長を促すトレーニングを行っている。
運動神経は野球の「センス」にもつながる。東京農業大学の勝亦陽一教授は、野球センスを「状況に応じて適切な行動を選択・実行できる能力」と定義し、誰もが伸ばすことができると語る。その育成に効果的なのが、昔ながらの遊びである「鬼ごっこ」。相手の動きを読む力や状況判断能力、俊敏性など、野球に必要な要素が自然と身につくという。また、子どもが主体的に考え、小さな成功と失敗を繰り返す「トライアンドエラー」の経験も野球センスを養うと語り、指導者や保護者は答えを教えるのではなく、選択肢を示して「どう思う?」と問いかけることが大切だと指摘している。
子どもの運動能力は誰でも伸ばすことができる。そのためにも、体を動かす機会を様々な形で設けることと、子どもたちが主体性に考える環境を作ることが不可欠だ。神経系が発達する年代に、遊びも交えたトレーニングを行いながら、そこに自ら考える経験も組み合わせる。目先の結果に一喜一憂せず、野球につながるセンスと生きる力を育んでいきたい。
・ゴールデンエイジに、神経系を刺激する多様な運動を行う。
・「鬼ごっこ」などを通じて、楽しみながら判断力と身体操作を養う。
・答えを教えず問いかけ、子どもが自分で考える試行錯誤の機会を作る。
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