「間違いではなかった」野球人生…でも「仲の良い友達と高校野球という選択も」

 快足と、思い切りのいいスイングでアピールした。2次のシート打撃では安打を打てなかったものの、ドラフト会議にかかることになった。親に報告すると「やりたいことが決まって良かったね」と、むしろホッとされたという。「なんとなく大学に行こうとは思っていましたけど、それまで本当に何もやりたいことがなかったんです」。

 入団したBCリーグの富山で出会ったのが、巨人と近鉄、さらにはメキシカンリーグでもプレーした吉岡雄二監督だ。「とにかく思い切りプレーしろとしか言われませんでしたね」。2017年の秋、快足と身体能力に目をつけたロッテから、育成1位指名を受けてついにNPBにまでたどり着いた。3年目、2020年の6月に支配下に昇格すると、2021年には24盗塁でタイトルにも輝いた。今季はプロ初本塁打を放つなど、進化を続けている。

 甲子園を目指したことがなくても、日本の頂点にたどり着くことはできる。他人と少し違う野球人生を振り返って「子どもたちに勧められはしませんね」と苦笑いするが「今、ここまできているので、間違いではなかったと思います」と言い切る。「でも……仲の良い友達と、3年間高校野球をやるという選択はあっても良かったかなと思います」。

 高校1年の時、野球に戻るきっかけとなった友も、大学までで野球はやめた。「今でも『プロに行ったのは俺のおかげだぞ』って言われますよ」。仲間に呼ばれ、背中を押されるようにしてたどり着いたプロの世界。今後はどのような活躍を見せてくれるだろうか。

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