
関学大の準硬式野球部から2005年ドラフトで西武に指名された山本歩さん
2005年の大学・社会人ドラフト5巡目で西武に入団した山本歩さんは、大学4年間を関学大の準硬式野球部で過ごした。プロ2年目に1軍登板も果たした異色の右腕は「皆さんが思っている以上に高いレベルで野球ができる」と、準硬式のメリットを口にする。小中高と決して“エリート”ではなかった右腕が、プロ入りできた理由に迫った。
山本さんは小中学生時代は学校の軟式野球部に所属し、高校は兵庫の三田学園に進学した。初めて硬式球を手にし、3年時にはエースとして春季県大会で準優勝を経験。ただこれが最高成績で、最後の夏は2回戦で敗退。甲子園には縁がなかった。
大学進学の際は「指定校推薦で行けると思っていましたが、全て落ちた。浪人するのが嫌だったので必死に勉強しました」。高校野球を引退してから猛勉強し、一般入試で関学大に合格。両親からは硬式野球を続けてほしいと告げられ「一度、見学したのですが自分のイメージとは違っていた」と入部しなかった。
ただ、野球を続けたい思いはあったという。友人と共にプレーできる“場所”を探した。いくつかのサークルから誘いを受けたが「もう少し真剣勝負したい」と、迷う中で見つけたのが準硬式野球だった。
「大学で留年はしたくなかった。練習場がキャンパスから離れていたので『土日しか練習に参加できないけど、いいですか?』と、当時の主将に伝えると快く受け入れてくれた。リーグのレベルも高くてビックリしました」
野球を物理現象として捉えての練習…土日だけの練習で最速144キロに
関学大が所属する「関西六大学準硬式野球連盟」は立命大、関大、同志社大、神戸大、大阪大の6チームで構成される。私大には甲子園に出場した選手も在籍しており「僕からしたら夢のような場所。雑誌に名前が載っていた打者と対戦できるのが嬉しかった」と振り返る。
チームには正式な指導者が不在で、練習メニューなども学生主体だったが「それが良かった。管理されるのではなく、自分のやりたいことができる。僕は人の言われたことを体で表現できなかった。野球を物理現象として捉えることで、どんどん野球がうまくなった」という。
伸びの良い球を投げる方法、ボールの回転数、相手のスイング軌道など――。物理的に仮説を立てながらトレーニングを行い、練習に参加できない時は1人で壁当て。限られた環境で努力を続け、高校時代に120キロだった直球は、大学4年間で144キロまで伸びた。全国大会優勝など実績を残し、“隠し玉”としてプロ野球の扉を開けた。改めて準硬式の魅力をこう口にする。
「まずは文武両道。学業が最優先で就職活動も一般生徒と同じようにできる。高校時代は試合に出られなかった選手も場数を踏める。硬式ではチャンスがない人もいる。あとは良くも悪くも、自分たちで全てやらないといけない。マネジメント能力も身につくので社会でも通用すると思います」
現在は大手化学メーカー「クラレ」で充実した“第2の人生”を過ごす山本さんは「準硬式からプロ入りする選手が出るのを楽しみしています」と、後輩たちにエールを送っている。
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