高校生が手作りで“200人超集客” 小学生も満足…「大人が仕切らない」野球教室の魅力

更新日:2026.01.29

文:高橋幸司 / Koji Takahashi

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新しい野球振興の形…埼玉・開智未来高野球部による「開智未来フェスタ」

 プロ野球選手などの著名人ではなく、“普通の高校生”が実施する野球教室だからこそ意義がある。埼玉・加須市の私立・開智未来高校の硬式野球部が1月18日、地元の幼児・小学生球児を集めての「開智未来フェスタ」を開催し、趣向を凝らした企画で子どもたちを楽しませた。「高校生だけで企画・運営をして、これだけの規模の野球教室は全国的にもなかなかないのでは」と語る伊東悠太監督と選手たちに、狙いや相乗効果を聞いた。

 晴天に恵まれた日曜日、いつもは高校球児が白球を追うグラウンドが子どもたちの歓声に包まれていた。集まったのは加須市周辺の学童チームの選手など、幼児から6年生まで210人。鬼ごっこから始まり、キャッチボール、ロングティー、ストラックアウト、そしてペットボトルの蓋を打つ「キャップ野球」と、約3時間にわたって42人の高校生たちと楽しんだ。

「開智未来フェスタ」は毎年1月に開催され、今年が8回目。野球部内の「企画渉外部」の選手たちが中心となって内容を考え、年末から準備をし、近隣に告知して実施している。2019年に参加者80人程度でスタートしたが、年々口コミで評判が広がり、今年は200人を超える規模になった。

「野球を楽しんでもらうのがゴール。子どもたちから『もう終わりなの?』といった言葉を聞ければ成功と考えています」と田島啓翔主将(2年)。もちろん、監督が安全管理面に注意は払うものの、基本的には運営全般が高校生たちの手に委ねられている。

 今回は“野球×AI(人工知能)”をテーマに、投球動作を動画で撮影し生成AIを使って採点する企画も行われたが、段ボールで作ったストラックアウトの的や、三角コーンとペットボトルで作ったティースタンドなど、“手作り感”も満載だった。

 実際に運営をして「子どもたちと同じ目線に立つのがすごく大事だと感じました」と田島主将。あらゆる事態をシミュレーションしてきたものの、「予定が押されて、時間管理が難しったです」と鈴木悠源副主将(2年)は反省も語ったが、閉会式での「楽しかった人!」との問いかけに、多くの手が挙がっていたのが参加者の満足の証拠だった。

“野球教室慣れ”した子どもたち…身近なお兄さん・お姉さんの果たす大きな役割

三角コーンを用いたロングティーの様子【写真:高橋幸司】

 このイベントの始まりは、読売巨人軍の野球振興部に勤めていた経験をもつ伊東監督が、「高校球児を増やすには、少年野球の人口を増やすこと。地域普及のために高校生ができることはないか」と、近くの小学校で活動する「北川辺ウォーターズ」の小野田英樹監督に相談をしたのがきっかけだったという。

「プロ野球選手を呼ぶとなれば、昔のつながりで呼ぶことも可能かもしれない。でも、今の少年野球の子たちって“野球教室慣れ”をしているんです。プロが来る、有名人が来る、大人が仕切るということではなく、高校生が手作りで自主運営するところが大きいのではと考えました」(伊東監督)

 プロや大人がやれば、どうしても技術指導がメインになるが、年齢の近い高校生だと野球を通して“一緒に遊ぶ”感覚になれる。かつて、色々な年代が公園に集まって草野球をした、そんな感覚に似ているだろう。そこがイベント名を「フェスタ」と銘打っている狙いだ。

 また、地域のチームが1か所に集うことで、さまざまな交流を生むのも狙いの1つ。指導者同士だけではない。キャッチボールの際に「違うチームの子と組んでね」と高校生が盛んに促していたが、子どもたちが数年後、中学・高校のチームメートや対戦相手となった時に、フェスタでのひとときが共通の思い出として残る可能性もある。

8回目の今年は210人もの参加者を集めた【写真:高橋幸司】

 初めて参加したという宮代町・須賀ファイターズの河村順監督は、「(少子化で)子どもの数が少なく、幼稚園から中学までずっと同じ子たちと一緒という地域も多いので、他チームと交流できるのは貴重な時間」と語り、「子どもたちが将来こうなりたい、指導者にとってはこうなってほしいという“近未来”が見られる。高校生がイベントをやる意義は大きいのでは」と続けた。

「僕たちは野球ですが、子どもたちには生涯を通して楽しい、一生続けられるものを見つけて人生を豊かにしてもらえれば」と田島主将。「フェスタでの体験を通じて、チームに戻った時にも『野球が楽しい』って感じてもらい、中学・高校と続けていってほしい」と鈴木副主将。加盟校が未就学児を指導する「キッズファーストアクション」など、日本高野連も野球離れ歯止めに力を入れているが、身近な“お兄さん・お姉さん”が果たす役割は、球界にとって想像以上に大きそうだ。

【実際の動画】鬼ごっこ、キャップ野球にAI分析 餅つきで交流も…高校生が自主運営する「開智未来フェスタ」の様子

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